第21回 言語聴覚士国家試験 第118問
音声障害第21回
裏声発声について正しいのはどれか。
- 1.甲状披裂筋が収縮する。
- 2.粘膜波動が大きい。
- 3.声門開放率が大きい。 ✓
- 4.声帯縁の接触時間が長い。
- 5.高調波成分に富んでいる。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 声門開放率が大きい。
裏声(ファルセット)発声は、輪状甲状筋が主に収縮して声帯を伸張し、声帯が細く緊張した状態で振動する発声です。この状態では声帯全体が接触せず、声門が大きく開いたままの時間が長くなるため、声門開放率が増大します。これが裏声の音響特性(高周波成分が豊富で、エネルギーが低い)につながります。
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【各選択肢の解説】
1. 甲状披裂筋が収縮する。
❌ 誤り。裏声発声では輪状甲状筋が主に収縮して声帯を伸張・緊張させます。甲状披裂筋の収縮は胸声(モーダル音声)で声帯を短縮・弛緩させるため、裏声発声では活動が抑制されています。
2. 粘膜波動が大きい。
❌ 誤り。裏声発声では声帯が強く伸張・緊張しているため、粘膜波動は著しく小さくなります。粘膜波動が大きいのは、むしろ声帯が短く弛緩している胸声発声です。
3. 声門開放率が大きい。
✅ 正しい。裏声発声では声帯が細く緊張し、声帯全体が接触しない状態で振動するため、声門が開いている時間の割合(声門開放率)が増加します。これは胸声に比べて著しく高値となります。
4. 声帯縁の接触時間が長い。
❌ 誤り。裏声発声では声帯が接触しない状態で振動するため、接触時間は短くなります。接触時間が長いのは、むしろ声帯が短く弛緩している胸声発声です。
5. 高調波成分に富んでいる。
❌ 誤り。裏声発声は声門開放率が大きく、粘膜波動が小さいため、スペクトラムは単調で高調波成分に乏しくなります。むしろ基本周波数と少数の低周波倍音からなる貧弱なスペクトラムを示します。
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【試験対策ポイント】
胸声(モーダル音声)vs 裏声(ファルセット)の比較表
| 項目 | 胸声 | 裏声 |
|---|---|---|
| 主要な筋活動 | 甲状披裂筋(短縮・弛緩) | 輪状甲状筋(伸張・緊張) |
| 声帯の状態 | 短く、弛緩 | 細く、緊張 |
| 粘膜波動 | 大きい | 小さい |
| 声門開放率 | 小さい | 大きい(★正答根拠) |
| 接触時間 | 長い | 短い |
| 周波数 | 低い | 高い |
| スペクトラム | 高調波成分に富む | 高調波成分に乏しい |
| 音のエネルギー | 大きい | 小さい |
キーワード:
- 裏声の音響特性=声門開放率の増大に由来
- 粘膜波動の減少(硬い発声)=高調波成分の減少
- 輪状甲状筋優位=声帯伸張・緊張の指標