STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第120問

聴覚系第21回
正しい組み合わせはどれか。
  1. 1.滲出性中耳炎 ― 鼓膜の膨隆
  2. 2.上前庭神経 ― 温度眼振反応 ✓
  3. 3.耳石器 ― 角加速度の感知
  4. 4.耳 管 ― 補充現象
  5. 5.聴皮質 ― 聴性脳幹反応

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 上前庭神経 ― 温度眼振反応 上前庭神経は前半規管を支配しており、温度刺激によって誘発される眼振反応(温度眼振検査で評価)の伝導経路として正しい対応です。温度眼振反応は前庭機能検査の基本的な方法であり、上前庭神経の機能を直接反映します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 滲出性中耳炎 ― 鼓膜の膨隆 ❌ 誤り。滲出性中耳炎では中耳腔に液体が貯留することで、鼓膜が「陥没」(内方へ引き込まれた状態)または「扁平化」します。膨隆は急性中耳炎に見られる所見で、滲出性中耳炎ではありません。 2. 上前庭神経 ― 温度眼振反応 ✅ 正しい。温度眼振検査(温刺激)により上前庭神経の機能を評価します。温度眼振反応は前半規管を支配する上前庭神経の動作を直接反映するため、この組み合わせは正確です。 3. 耳石器 ― 角加速度の感知 ❌ 誤り。耳石器(卵形嚢・球形嚢)は「直線加速度」と「重力」を感知します。角加速度は半規管の役割です。この選択肢は感知する刺激の種類が誤っています。 4. 耳 管 ― 補充現象 ❌ 誤り。補充現象(loudness recruitment)は内耳の障害(感音難聴)で生じる現象であり、耳管機能とは無関係です。耳管は中耳の換気と圧力調整を担当します。 5. 聴皮質 ― 聴性脳幹反応 ❌ 誤り。聴性脳幹反応(ABR:Auditory Brainstem Response)は脳幹レベル(特に下丘・上オリーブ核など)で生じる反応であり、聴皮質(大脳皮質)での反応ではありません。ABRは客観的聴覚検査として重要ですが、部位の対応が誤っています。 --- 【試験対策ポイント】 | 項目 | 正しい知識 | |---|---| | 滲出性中耳炎 | 鼓膜:陥没・扁平化(膨隆ではない) | | 前庭器官の支配 | 上前庭神経:前・外側半規管、卵形嚢 / 下前庭神経:後半規管、球形嚢 | | 温度眼振検査 | 前半規管刺激 → 上前庭神経で評価 | | 耳石器 | 直線加速度+重力感知(角加速度ではない) | | 補充現象 | 感音難聴時に出現する異常な音量増加感(内耳障害) | | ABR(聴性脳幹反応) | 脳幹の応答 / 新生児聴覚スクリーニングで使用 | 記憶のコツ:「部位×機能」の対応を整理する際、解剖学的部位と生理機能の両方を確認することが重要です。特に前庭機能と聴覚機能の検査結果がどの神経・部位を反映しているかを把握することがこの問題の鍵となります。
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