第21回 言語聴覚士国家試験 第132問
生涯発達心理学第21回
Gesell,A.L.の発達理論として誤っているのはどれか。
a.成熟優位を主張した。
b.双生児統制法を用いた。
c.同化と調節によって外界に適応するとした。
d.精神分析学に基づいている。
e.学習の成立にはレヂィネスが重要であるとした。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
Gesell,A.L.の発達理論の特徴は「成熟優位説」と「同化・調節」は一致しません。同化と調節はPiaget理論の中核概念であり、Gesellの理論ではなく、また精神分析学に基づいていません。GesellはPiagetやFreudとは異なる独自の発達段階論を展開しました。
---
【各選択肢の解説】
a. 成熟優位を主張した。
✅ 正しい。Gesellの最大の特徴は「発達における成熟(maturation)の重要性」を強調したこと。学習よりも生物学的成熟が発達を規定するという立場です。
b. 双生児統制法を用いた。
✅ 正しい。Gesellは双生児を対象に、一方を訓練し他方を統制する「双生児統制法(co-twin control method)」を用いて、成熟と学習の相対的寄与を検証しました。有名な階段登り実験があります。
c. 同化と調節によって外界に適応するとした。
❌ 誤り。「同化と調節」はPiaget理論の認知発達理論における中核概念であり、Gesellの発達理論ではありません。GesellはPiagetではなく、神経心理学的な成熟過程を重視しました。
d. 精神分析学に基づいている。
❌ 誤り。Gesellの理論は精神分析学(Freud系)ではなく、生物学的・神経学的な成熟過程に基づいています。むしろFreudやPiagetと比較すると、Gesellはより「生物学的決定論」に近い立場です。
e. 学習の成立にはレヂィネスが重要であるとした。
✅ 正しい。Gesellは「準備状態(readiness)」の概念を提唱し、学習が成立するには発達段階における生物学的・神経学的な準備が必要であると主張しました。
---
【試験対策ポイント】
発達理論家の比較表(重要な区別)
| 理論家 | 理論体系 | 基盤 | キーワード |
|---|---|---|---|
| Gesell(ゲゼル) | 発達段階論 | 生物学的成熟 | 成熟優位説、双生児統制法、readiness |
| Piaget(ピアジェ) | 認知発達理論 | 能動的相互作用 | 同化・調節、段階理論(4段階)、逆算不可能性 |
| Freud(フロイト) | 精神分析理論 | 無意識・性的本能 | 心理性的段階、防衛機制、トラウマ |
| Erikson(エリクソン) | 社会心理的理論 | 社会的相互作用 | 8段階、心理社会的危機 |
頻出の誤り例:
- 「Gesellが同化と調節を主張」→これはPiagetです
- 「Gesellが精神分析に基づく」→Gesellは生物学的成熟派です
- 「Piagetが双生児統制法」→Gesellの手法です
Gesellのreadinessの具体例:
- トイレトレーニングは24~30ヶ月までは準備ができていない
- 読み書きも一定の神経成熟が必要(個人差より成熟段階重視)