第21回 言語聴覚士国家試験 第138問
音響学第21回
母音のスペクトルを観察した場合、声道の特性を表さないのはどれか。
- 1.第1フォルマントの周波数
- 2.第1フォルマントのパワー
- 3.アンチフォルマントの出現
- 4.線スペクトルの周波数間隔 ✓
- 5.第1フォルマントと第2フォルマントとの相対位置
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 線スペクトルの周波数間隔
線スペクトルの周波数間隔は基本周波数(F0)で決定され、これは音源特性(声帯振動)を反映します。一方、フォルマントやアンチフォルマントは声道の形状・長さに依存する声道特性を表します。母音のスペクトル観察において、声道特性を抽出するには、基本周波数の影響を除去してフォルマント周波数に注目する必要があります。
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【各選択肢の解説】
1. 第1フォルマントの周波数
✅ 正しい。第1フォルマント(F1)の周波数は声道の舌の高さを反映し、母音ごとに異なります(母音〔a〕で低く、〔i〕や〔u〕で高い傾向)。声道の容積と形状を示す声道特性です。
2. 第1フォルマントのパワー
✅ 正しい。各フォルマントのパワー(振幅の大きさ)は声道内の音響特性、特に共鳴位置に依存します。これは声道の特性を反映する重要な情報です。
3. アンチフォルマントの出現
✅ 正しい。アンチフォルマント(反共鳴)は声道内に形成される負の共鳴であり、特に鼻音や音声の無声化に伴い出現します。声道特性を示す重要なマーカーです。
4. 線スペクトルの周波数間隔
❌ 誤り。線スペクトルの周波数間隔は基本周波数(F0)によって決定され、これは音源特性(声帯の振動周波数)を反映するものであり、声道特性ではありません。高いピッチでは間隔は広く、低いピッチでは狭くなります。
5. 第1フォルマントと第2フォルマントとの相対位置
✅ 正しい。F1とF2の相対位置の関係は母音の音響的特徴を決定し、声道の形状(舌の位置・高さ)を反映する声道特性です。これは音響音声学における母音分類の基本です。
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【試験対策ポイント】
音源特性 vs 声道特性の区別:
| 項目 | 音源特性(声帯) | 声道特性(声道) |
|---|---|---|
| 基本周波数(F0) | ✅ | ❌ |
| 線スペクトルの間隔 | ✅(F0で決定) | ❌ |
| フォルマント周波数 | ❌ | ✅ |
| フォルマント帯域幅 | ❌ | ✅ |
| アンチフォルマント | ❌ | ✅ |
| F1・F2の相対位置 | ❌ | ✅ |
重要キーワード:
- 基本周波数(F0)→ ピッチ → 音源特性
- フォルマント → 共鳴周波数 → 声道特性
- 線スペクトルは調和関係(F0の整数倍)を保つ → 音源由来
母音スペクトルの見方:
- 低周波域:F0の倍数で線スペクトルが並ぶ
- フォルマント領域:線スペクトルが集中(エンベロープがフォルマント)
- 声道特性を評価する際は「線スペクトルの包絡線」がフォルマント周波数を示す