第21回 言語聴覚士国家試験 第146問
言語発達学第21回
音韻意識の定型的な発達で誤っているのはどれか。
a.4歳後半に語頭音抽出ができるようになる。
b.音韻意識の発達は平仮名の読みの習得の前提となる。
c.5歳前半までに3モーラ語の逆唱ができるようになる。
d.語の同定が可能であれば音韻意識が獲得される。
e.漢字語の読みを学習する際にも音韻操作能力が必要である。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
音韻意識の発達は段階的であり、特に語の逆唱能力は5歳前半では習得されず、また「語の同定」と「音韻意識」は異なる概念です。これらの誤解は音韻発達の臨床評価において重要な誤りになります。
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【各選択肢の解説】
a. 4歳後半に語頭音抽出ができるようになる。
✅ 正しい。語頭音抽出は4歳後半から5歳初期にかけて獲得される音韻意識の初期段階です。「犬→『ぬ』の音」といった操作が可能になる時期です。
b. 音韻意識の発達は平仮名の読みの習得の前提となる。
✅ 正しい。音韻意識(特に音の分節化・融合能力)があってこそ、平仮名という文字と音を対応させることが可能になります。音韻意識が不十分な児童の読み習得は困難になります。
c. 5歳前半までに3モーラ語の逆唱ができるようになる。
❌ 誤り。3モーラ語(例:「みかん」=み・か・ん)の逆唱は、5歳前半ではまだ困難です。逆唱は音韻意識の中でも発達段階が後期であり、6歳以降~就学後に習得される能力です。5歳前半では2モーラ語程度の逆唱が限度とされています。
d. 語の同定が可能であれば音韻意識が獲得される。
❌ 誤り。語の同定(「ワンワン」という音声を聞いて犬を指す)は「音韻認識」であり、「音韻意識」(音を操作・分析する能力:語頭音抽出・逆唱・韻を踏むなど)とは全く別です。この混同は音韻発達評価の大きな誤りになります。
e. 漢字語の読みを学習する際にも音韻操作能力が必要である。
✅ 正しい。漢字語も「音読み」(音韻体系)と結びつく必要があり、音韻操作能力は日本語すべての読み習得に必須です。
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【試験対策ポイント】
音韻意識の発達段階(発達順序が重要)
| 段階 | 能力 | 典型獲得時期 |
|---|---|---|
| 1 | 語の同定(音声認識) | 1~2歳 |
| 2 | 語頭音抽出 | 4歳後半~5歳初期 |
| 3 | 2モーラ語の逆唱 | 5歳前半 |
| 4 | 3モーラ語の逆唱 | 6歳以降(就学後) |
| 5 | 韻を踏む・押韻 | 6~7歳 |
重要な概念区別
「語の同定」≠「音韻意識」
- 語の同定:音声刺激を認識して意味と結びつける(聴覚的語彙認識)
- 音韻意識:音そのものを操作・分析する(メタ言語能力)
逆唱の誤解パターン
「5歳までに3モーラ」は誤り→「6歳以降」が正確
試験では「○歳までに△△ができる」という発達マイルストーンで、時期が1年ずれているだけで誤り選択肢になることが頻出