STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第155問

失語症第21回
音韻性錯語と発語失行との鑑別に有用なのはどれか。
  1. 1.非語復唱
  2. 2.線画呼称
  3. 3.仮名音読
  4. 4.仮名書字 ✓
  5. 5.単語復唱

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 仮名書字 音韻性錯語と発語失行は音声産出の障害という点では共通していますが、その本質が異なります。音韻性錯語は言語システムの音韻レベルの障害であるため「書く」には影響しませんが、発語失行は音声産出の運動計画障害であるため「話す」「書く」の両方に現れます。仮名書字課題により、この本質的な違いを鑑別できます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 非語復唱 ❌ 誤り。音韻性錯語も発語失行も、非語復唱では両者ともに同様の困難を示します。復唱という運動計画を要する課題では、発語失行の特性が強く出現するため、鑑別には不向きです。 2. 線画呼称 ❌ 誤り。線画呼称も音声産出を要する課題であり、音韻性錯語・発語失行の両者が困難を示します。音声で応答する限り、両者の違いを明確には区別できません。 3. 仮名音読 ❌ 誤り。音読も音声産出を伴う課題です。発語失行があれば音読も障害されます。音韻性錯語との鑑別には、音声出力を避ける必要があります。 4. 仮名書字 ✅ 正しい。音韻性錯語は言語の音韻層への障害であり、文字産出(書字)の能力は保持されます。一方、発語失行は音声産出の運動計画障害であり、書字は比較的保持されることが多いです。ただし「音韻障害としての書字の保持」と「運動障害としての書字困難」を見分けることで鑑別が可能です。より具体的には、音韻性錯語では仮名書字が正確に行える傾向があり、発語失行では音声同様に書字にも試行錯誤が見られることがあります。 5. 単語復唱 ❌ 誤り。単語復唱も音声産出を要する課題であり、両障害で困難が生じます。特に発語失行の症状が強く出現する課題のため、鑑別には不適切です。 --- 【試験対策ポイント】 音韻性錯語 vs 発語失行の鑑別表 | 特性 | 音韻性錯語 | 発語失行 | |---|---|---| | 障害の本質 | 言語システムの音韻レベル | 音声産出の運動計画 | | 音声言語 | 障害あり(錯語) | 障害あり(試行錯誤・不安定) | | 書字 | **保持される** | 障害されやすい | | 復唱 | 錯語が起こる | 試行錯誤・改善傾向 | | 自動会話 | 障害される | 改善することが多い | 重要な鑑別軸:「音声出力を避ける課題」を選ぶ - 音韻性錯語:書字で正確性が保持される - 発語失行:運動計画障害なので書字にも影響する傾向 試験のコツ:「仮名書字のような言語の認知的能力を問う課題」が鑑別に最適
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