第21回 言語聴覚士国家試験 第159問
失語症第21回
急性期の重度失語症患者への訓練・援助として優先度が低いのはどれか。
- 1.転帰先検討に向けた予後予測
- 2.コミュニケーション手段の確保
- 3.まとまった内容の正確な発話の訓練 ✓
- 4.関連職種との情報共有
- 5.言語・コミュニケーション状態についての家族への情報提供
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — まとまった内容の正確な発話の訓練
急性期の重度失語症患者では、生命維持管理と基本的なコミュニケーション確保が最優先です。「正確な発話訓練」は、患者が基本的な意思疎通ができるようになった回復期以降に段階的に進める内容であり、急性期には優先度が低いと考えられます。急性期は予後予測、コミュニケーション手段確保、多職種連携、家族教育といった「生活と安全の基盤整備」に注力すべき段階です。
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【各選択肢の解説】
1. 転帰先検討に向けた予後予測
❌ **優先度が低くない**(むしろ重要)。急性期の早期段階で粗い予後予測を行うことで、リハビリテーション計画の立案や家族への見通し提供に直結します。
2. コミュニケーション手段の確保
❌ **優先度が低くない**(最優先)。重度失語症患者が基本的な意思表示(はい・いいえ、痛み、希望など)ができる手段(カード・ボード・身振り・音声出力装置など)の確保は、安全と尊厳のために必須です。
3. まとまった内容の正確な発話の訓練
✅ **正しい**。これは優先度が最も低い。急性期は脳浮腫や神経動態が不安定な時期であり、複雑で正確さを要求する構音訓練は患者にとって過剰な認知負荷となります。復帰期~維持期に段階的に開始すべき内容です。
4. 関連職種との情報共有
❌ **優先度が低くない**(必須)。医師・看護師・作業療法士・社会福祉士など多職種が患者の言語・認知状態を共有することで、一貫したアプローチと誤嚥・転倒防止につながります。
5. 言語・コミュニケーション状態についての家族への情報提供
❌ **優先度が低くない**(優先度高)。家族が患者の状態を理解することで、不安が軽減され、退院後の対応や見通しについて現実的な計画が可能になります。
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【試験対策ポイント】
| 失語症リハビリテーションの段階と優先順位 |
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| **急性期(発症~2週間程度)** |
| ① 生命維持管理・安全確保 |
| ② 基本的コミュニケーション手段の確保 |
| ③ 多職種連携・家族教育 |
| ④ 粗い予後予測 |
| **回復期(2週間~3ヶ月)** |
| ⑤ 言語訓練の本格開始(失語症タイプ別) |
| ⑥ 段階的な正確性向上訓練 |
「正確な発話訓練」「複雑な語彙訓練」は急性期には不要
→ 患者の疲労と脳の回復状態に配慮する必要がある
「優先度が低い選択肢を選ぶ問題」では「時期的に早すぎるもの」「段階的に後から開始すべきもの」を見極めることが重要。