第21回 言語聴覚士国家試験 第160問
失語症第21回
小児期に生じた失語についてが誤っているのはどれか。
- 1.聴覚的理解力の低下は軽度のことが多い。 ✓
- 2.発話は非流暢で失文法を示すことが多い。
- 3.就学後に学習上の問題を生じることが多い。
- 4.原因疾患として頭部外傷によるものが多い
- 5.日常生活でのコミュニケーションに支障がない程度に音声言語が回復することが多い。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 聴覚的理解力の低下は軽度のことが多い。
小児期に生じた失語症では、成人失語と異なり、聴覚的理解力(受容言語)の低下が著しく、むしろ比較的重度になることが多いとされています。このため選択肢1は誤りです。小児失語は発話の非流暢性が目立つ傾向があり、他の選択肢の特徴はいずれも小児失語の臨床的特徴として正確です。
---
【各選択肢の解説】
1. 聴覚的理解力の低下は軽度のことが多い。
❌ 誤り。小児失語では聴覚的理解力(受容言語能力)の低下が著しく、比較的重度になることが多いとされています。成人のBroca失語で理解が比較的保たれるのとは対照的です。
2. 発話は非流暢で失文法を示すことが多い。
✅ 正しい。小児失語では非流暢な発話と失文法(文法的エラー、助詞脱落、文構造の簡潔化)が特徴的です。成人失語同様にこの特性が認められます。
3. 就学後に学習上の問題を生じることが多い。
✅ 正しい。小児失語は読み書き能力の発達段階で生じることが多く、読字・書字障害、学習困難が二次的に生じやすいとされています。
4. 原因疾患として頭部外傷によるものが多い。
✅ 正しい。小児失語の主な原因は頭部外傷(交通事故・転落)であり、成人の脳血管障害が主因とは異なります。他には脳炎・脳腫瘍なども原因となります。
5. 日常生活でのコミュニケーションに支障がない程度に音声言語が回復することが多い。
✅ 正しい。小児は脳の可塑性が高いため、成人失語よりも予後が良く、日常コミュニケーション程度には比較的回復することが多いとされています。
---
【試験対策ポイント】
小児失語(成人失語との比較表)
| 項目 | 小児失語 | 成人失語(例:脳血管障害) |
|---|---|---|
| 主な原因 | 頭部外傷・脳炎・脳腫瘍 | 脳梗塞・脳出血 |
| 受容言語 | 著しく低下(重度) | 部位依存(Broca失語は軽度) |
| 発話特徴 | 非流暢・失文法 | 失語症状の型に依存 |
| 学習面への影響 | 読み書き障害が二次的に頻発 | 比較的限定的 |
| 予後 | 良好(脳可塑性が高い) | 固定化しやすい |
| 回復程度 | 日常コミュニケーション程度まで回復多い | 完全回復は困難なことが多い |
重要:受容言語(聴覚的理解)が「軽度」という選択肢は小児失語の特徴と矛盾している点をしっかり認識することが試験合格の鍵。