第21回 言語聴覚士国家試験 第164問
脳性麻痺第21回
脳性麻痺の言語症状について誤っているのはどれか。
- 1.呼吸機能がプロソディに影響する。
- 2.身体状況や場面の違いによって発話明瞭度が変化する。
- 3.語彙の偏りが生じる。
- 4.運動障害が重度であればあるほど言語理解が遅れる。 ✓
- 5.初語の出現が遅れる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 運動障害が重度であればあるほど言語理解が遅れる。
脳性麻痺における言語理解は、運動障害の重症度とは独立している重要な特性です。運動障害が高度な場合でも、認知能力や言語理解が保持されていることは多くあります。むしろ脳性麻痺では、表出言語(構音障害)と受容言語に乖離がみられることが典型的です。運動障害の程度と認知・言語理解の程度は相関しないため、この選択肢は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 呼吸機能がプロソディに影響する。
✅ 正しい。脳性麻痺では呼吸筋や横隔膜の協調運動が障害されるため、呼吸制御が低下し、イントネーション・アクセント・ポーズなどのプロソディが不規則になります。呼気量が制限されると、フレーズ長も短くなります。
2. 身体状況や場面の違いによって発話明瞭度が変化する。
✅ 正しい。脳性麻痺では、姿勢変化・緊張度の上昇・疲労・環境ストレスなどによって構音器官の協調性が変動するため、同じ患者でも場面や時間帯によって明瞭度にばらつきが生じます。
3. 語彙の偏りが生じる。
✅ 正しい。構音障害の程度や音韻体系の影響により、特定の音韻体系を含む語彙は使用回避され、発話しやすい音で始まる語彙が選好的に使用されるため、語彙の偏りが生じます。
4. 運動障害が重度であればあるほど言語理解が遅れる。
❌ 誤り。脳性麻痺の運動障害の重症度と言語理解(受容言語)の発達程度は相関しません。多くの脳性麻痺児では運動障害が重度でも認知能力・言語理解は正常であり、構音障害による「表現される情報」と「理解できる情報」に大きな乖離があります。
5. 初語の出現が遅れる。
✅ 正しい。脳性麻痺では構音器官の運動制御障害のため、発声・発語に必要な筋力と協調性の獲得が遅延し、初語の出現年齢が健常児より遅れることが多くあります。
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【試験対策ポイント】
脳性麻痺における言語発達の特性
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 運動障害の程度 | 言語理解(受容言語)と相関しない |
| 構音障害 | あり(表出言語に著しい影響) |
| 言語理解 | 正常範囲のことが多い |
| 認知発達 | 運動機能の評価では判定不可 |
脳性麻痺の言語症状(頻出項目)
- 呼吸制御困難:プロソディ異常、短いフレーズ長
- 身体状況依存:姿勢・緊張・疲労で明瞭度変動
- 語彙の偏り:発話しやすい音の語彙選好
- 初語遅延:構音技能獲得の遅延
- 受容言語は比較的保持(重要)
紛らわしい点
「運動障害が重い→言語理解も遅い」という単純な因果関係は存在しません。むしろ、表出困難な場合ほど、真の認知・理解能力を見落とすリスクがあります。これはAAC導入の判断基準にも関わる重要概念です。