第21回 言語聴覚士国家試験 第165問
言語発達障害学第21回
DSM-5の自閉症スペクトラム障害の診断基準に当てはまるのはどれか。
a.衝動的な行動
b.感覚刺激に対する過敏さ
c.非言語的コミュニケーションの欠如
d.同一性への無関心
e.運動機能の欠如
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
DSM-5の自閉症スペクトラム障害(ASD)診断基準は、社会的コミュニケーション・相互作用の障害、限定的・反復的な行動・興味・活動の2領域で構成されています。感覚刺激に対する過敏さ(感覚感応性の異常)と非言語的コミュニケーションの欠如(社会的・感情的相互関係の障害)がこれに該当します。
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【各選択肢の解説】
a. 衝動的な行動
❌ 誤り。衝動性はADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴であり、ASD診断基準には含まれません。ただしASDとADHDは併存することがあります。
b. 感覚刺激に対する過敏さ
✅ 正しい。DSM-5では限定的・反復的な行動・興味・活動の領域に「感覚刺激への過敏さ、または弱い反応」が明記されており、診断基準に該当します。
c. 非言語的コミュニケーションの欠如
✅ 正しい。DSM-5の社会的コミュニケーション・相互作用の障害として「非言語的コミュニケーション行動(目線の合わせ、身振り、顔の表情など)の障害」が診断基準に含まれます。
d. 同一性への無関心
❌ 誤り。診断基準は「同一性への過度な固執」(こだわり)であり、無関心ではありません。ASDの特徴は関心事の「限定性」であって、関心の「欠如」ではないことが重要です。
e. 運動機能の欠如
❌ 誤り。運動機能の欠如は発達性協調運動障害(DCD)や知的能力障害に該当し、ASD診断基準には含まれません。ただし協調運動の不器用さは随伴症状として見られることがあります。
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【試験対策ポイント】
DSM-5 ASD診断基準(最低3項目満たす)
|領域|診断基準項目|典型的な表現|
|---|---|---|
|社会的コミュニケーション・相互作用の障害|非言語的コミュニケーション異常|目線が合わない、身振り理解困難|
||相互的な感情表現の欠陥|感情共有の困難|
||関係構築・維持の困難|友人形成困難、関心の違い|
|限定的・反復的行動・興味・活動|常同性行動(ステレオタイプ)|回転遊び、カタカナ言葉繰り返し|
||同一性への固執|儀式的行動、ルール厳守|
||限定的興味|特定事物への過度な集中|
||感覚刺激への異常反応|聴覚過敏、光過敏、触覚敏感、無反応|
頻出の紛らわしい項目:
- 「無関心」vs「固執」:ASDは関心が「限定的で強い」であり、関心そのものの「欠如」ではない
- ADHD的症状(衝動性・注意散漫)とASD症状の区別:両者は異なる神経生物学的基盤
- 発達的な遅れ(発達障害一般)とASDの区別:ASDは「異質な発達パターン」であり、単純な遅れではない