STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第179問

機能性構音障害第21回
機能性構音障害の6歳児。すべての歯茎音に口蓋化構音がみられる。訓練導入時に用いる音はどれか。
  1. 1.[s] ✓
  2. 2.[n]
  3. 3.[k]
  4. 4.[r]
  5. 5.[ts]

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — [s] 機能性構音障害で口蓋化構音がみられる場合、訓練導入時には、同じ音韻特徴を持つ正常に発音できている音から始めるのが原則です。口蓋化構音とは、歯茎音が硬口蓋付近で発音される誤りですが、この6歳児は[s]よりも容易に産出できる対照音を持つはずです。[s]は歯茎音で、口蓋化の影響を最も受けやすい音ですが、同じ摩擦音で歯の位置が異なる音から段階的に移行させることで、より自然な学習が可能になります。最初は正常に産出できている音(特に同じ音韻特徴を持つ音)を確認した上で、そこから口蓋化構音の改善対象音へ橋渡しするアプローチが効果的です。 --- 【各選択肢の解説】 1. [s] ✅ 正しい。[s]は歯茎音で、口蓋化構音の改善対象音そのものです。訓練導入時には、正常に産出できている類似の特徴を持つ音から段階的に[s]へアプローチするため、[s]の周辺音を確認する出発点として重要です。 2. [n] ❌ 誤り。[n]は鼻音であり、[s]などの歯茎摩擦音とは音韻特徴が異なります。口蓋化構音改善には同じ摩擦音の特徴を持つ音から入るべきです。 3. [k] ❌ 誤り。[k]は軟口蓋音で、歯茎音の[s]とは調音位置が大きく異なります。口蓋化構音の改善には、調音位置が近い音を選択することが効果的です。 4. [r] ❌ 誤り。[r]は流音(音韻的には異なるカテゴリ)で、[s]などの歯茎摩擦音の訓練とは別の視点から対象とされます。同じ歯茎音でも摩擦音と流音では訓練段階が異なります。 5. [ts] ❌ 誤り。[ts](破擦音)は[s]の前に破裂の成分を含んでおり、複合音です。口蓋化構音改善では、より単純で基本的な[s]のような摩擦音から入るべきです。 --- 【試験対策ポイント】 機能性構音障害の訓練戦略(5段階) | ステップ | 内容 | ポイント | |---|---|---| | 1. 正常音の確認 | すべての音を評価し、正常に産出できている音を特定 | 誤り音と同じ音韻特徴を持つ正常音が出発点 | | 2. 導入音の選択 | 正常に産出できている音(または最も容易な音) | 同じ調音位置・調音方法の音を優先 | | 3. 段階的移行 | 正常音→目標音へ段階的に調音位置を変える | 口蓋化の場合:軟口蓋→硬口蓋→歯茎 | | 4. 形成 | 正常な産出を確立・定着させる | 孤立音→音節→単語→文レベル | | 5. 般化 | 日常会話への拡大 | 家庭での練習と定着確認 | 口蓋化構音の改善アプローチ - 歯茎音全体の共通誤りなので、特徴的な手がかり音を選ぶ - [s]と[ʃ]が両方口蓋化している場合、[f]など歯唇摩擦音(正常な場合が多い)から入ることもある - 6歳では学習可能性が高く、前向きな見通しが持てる時
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