STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第182問

運動障害性構音障害第21回
発話特徴抽出検査において録音した音声サンプルで評価不能な項目はどれか。
  1. 1.声の高さの程度
  2. 2.声の飜転
  3. 3.声の大きさの程度 ✓
  4. 4.声の大きさの変動
  5. 5.声のふるえ

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 声の大きさの程度 発話特徴抽出検査は「録音音声」に基づく検査であり、スピーカーの出力音量に左右される「絶対的な声の大きさ」は評価不可能です。一方、相対的な変動や周波数特性(声の高さ、ふるえなど)は音声ファイル上で分析可能です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 声の高さの程度 ✅ 正しい。周波数分析により、基本周波数(F0)から声の高さの程度を客観的に評価できます。録音音声でも周波数情報は保持されているため評価可能です。 2. 声の翻転 ✅ 正しい。声の翻転(pitch breaks)は周波数の急激な変動として音響分析で検出可能です。周期的な周波数変化として波形上に明瞭に現れるため、録音音声で評価できます。 3. 声の大きさの程度 ❌ 評価不能。「絶対的な声の大きさ」はマイクの感度、マイクと音源の距離、録音レベル設定など、録音環境に大きく依存します。音声ファイルの音圧レベルは物理的な音量を反映せず、臨床的な評価指標として不適切です。 4. 声の大きさの変動 ✅ 正しい。同一音声サンプル内における相対的な音量変動(例:句内での音量の揺らぎ)は、波形の振幅変化として検出可能であり、録音音声で評価できます。 5. 声のふるえ ✅ 正しい。声のふるえ(tremor)は周期的な振幅および周波数変動として認識でき、時間周波数解析で検出可能です。音響パラメータとして定量化できます。 --- 【試験対策ポイント】 発話特徴抽出検査の原理:音響分析は「相対的な特性」を捉える 評価可能な項目 vs 評価不能な項目 | 評価項目 | 評価可能性 | 根拠 | |---|---|---| | 声の高さ(F0) | ✅ 可能 | 周波数情報は音声ファイルに保持 | | 声の翻転 | ✅ 可能 | 周波数の急激な変化として検出 | | 声のふるえ | ✅ 可能 | 振幅・周波数変動の周期性を定量化 | | 声の大きさ(絶対値) | ❌ 不可能 | 録音環境(マイク感度・距離)に依存 | | 声の大きさの変動(相対値) | ✅ 可能 | 同一ファイル内の相対的な振幅変化 | 重要な区別:「絶対的」vs「相対的」 - 声の大きさの「程度」(絶対的)→ 物理的環境に依存 → 評価不能 - 声の大きさの「変動」(相対的)→ ファイル内の相対差 → 評価可能 現実的には、臨床評価では「聴覚評価」(RASATI等の知覚的評価スケール)で声の大きさを判定し、音響分析はあくまで補助的役割に留まります。
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