第21回 言語聴覚士国家試験 第22問
聴覚系第21回
正しいのはどれか。
- 1.内耳の発生と中耳の発生とは互いに独立している。 ✓
- 2.音刺激により有毛細胞のNa+チャネルが開き脱分極する。
- 3.強大音による難聴は基底板のゆがみによって生じる。
- 4.耳小骨筋反射は脳幹障害の影響を受けない。
- 5.聴覚情報は下丘から外側毛帯を通り中枢へ伝えられる。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 内耳の発生と中耳の発生とは互いに独立している。
内耳と中耳は発生学的に全く異なる起源を持ちます。内耳は外胚葉由来の内耳胞から発生し、中耳は第1咽頭嚢(中耳腔)と第1咽頭弓・第2咽頭弓に由来する中胚葉から発生します。この発生学的独立性が、内耳奇形と中耳奇形が独立して生じうることを示す重要な知識です。
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【各選択肢の解説】
1. 内耳の発生と中耳の発生とは互いに独立している。
✅ 正しい。内耳は外胚葉由来の内耳胞から発生し、中耳は第1咽頭嚢と咽頭弓由来中胚葉から発生します。発生起源が全く異なるため、内耳奇形と中耳奇形は独立して生じます。
2. 音刺激により有毛細胞のNa+チャネルが開き脱分極する。
❌ 誤り。有毛細胞が脱分極する際に開くのは「K+チャネル」です。音振動により有毛細胞の毛束が変位すると、感覚毛のリンク機構(tip link)を介してK+チャネルが開き、K+が内リンパ(高K+環境)から細胞内に流入して脱分極します。Na+ではなくK+であることは頻出誤答です。
3. 強大音による難聴は基底板のゆがみによって生じる。
❌ 誤り。強大音による騒音難聴は「有毛細胞の障害」により生じます。特に外有毛細胞が最初に傷害され、その結果内有毛細胞の機械的サポートが失われます。基底板自体のゆがみではなく、上に乗っている有毛細胞の傷害が本態です。
4. 耳小骨筋反射は脳幹障害の影響を受けない。
❌ 誤り。アブミ骨筋反射の反射弧は顔面神経(VII)を含み、その中枢路は脳幹内の三叉神経核・顔面神経核を経由します。脳幹病変(橋病変など)はアブミ骨筋反射を低下・消失させるため、脳幹障害の影響を「受けます」。
5. 聴覚情報は下丘から外側毛帯を通り中枢へ伝えられる。
❌ 誤り。経路の方向が逆です。聴覚情報は「外側毛帯を通って下丘に伝えられます」。外側毛帯は下行する経路ではなく、蝸牛神経核から下丘への「上行」経路です。下丘からは中脳の内膝状体へ向かいます。
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【試験対策ポイント】
聴覚系の発生と生理は紛らわしい項目が集中しています:
発生学的系統
| 部位 | 発生起源 | 時期 |
|---|---|---|
| 内耳 | 外胚葉(内耳胞) | 胎生第3週 |
| 中耳腔 | 第1咽頭嚢(中胚葉) | 胎生第4週 |
| 耳小骨 | 咽頭弓軟骨(メッケル軟骨など) | 胎生第6〜8週 |
有毛細胞の電気生理学
-「Na+」ではなく「K+が脱分極を起こす」(内リンパは高K+で約150mM)
- リンク機構(tip link)の開閉でK+チャネル開閉
- 外有毛細胞→内有毛細胞の順で障害
聴覚伝導路:方向の誤りに