第21回 言語聴覚士国家試験 第36問
音響学第21回
母音産出時の声道について適切でないのはどれか。
- 1.声道がフィルタとなっている。
- 2.舌の位置によって声道の形が変わる。
- 3.声道で共鳴が生じる。
- 4.声帯振動数を変えずに声道形状を変えられる。
- 5.声道の長さは年齢によらず一定である。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 声道の長さは年齢によらず一定である
声道の長さは成長に伴って変化します。特に思春期前から思春期にかけて男性の声道は伸長し、音響特性が大きく変わります。一定ではないため、この選択肢は適切ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 声道がフィルタとなっている。
✅ 正しい。声帯が振動源となり、その上方の声道がフィルタとして機能します。声帯の基本周波数と声道の共鳴周波数(フォルマント)の相互作用により音響特性が決定されます。
2. 舌の位置によって声道の形が変わる。
✅ 正しい。舌の高さ・前後位置により声道の構造が変化し、フォルマント周波数が変わります。母音ごとに異なる舌位置を取ることで、異なる音響特性が生成されます。
3. 声道で共鳴が生じる。
✅ 正しい。声道は管状共鳴器として機能し、フォルマント周波数(第1フォルマントF1、第2フォルマントF2など)を中心に共鳴が生じます。これが音質(timbre)を決定します。
4. 声帯振動数を変えずに声道形状を変えられる。
✅ 正しい。基本周波数(声帯振動数)と声道形状は独立して制御可能です。同じ周波数でも舌位置を変えれば異なる母音が産出されます。これを音響音韻学の二層模型といいます。
5. 声道の長さは年齢によらず一定である。
❌ 誤り。声道長は年齢とともに変化します。児童期から思春期にかけて特に伸長し、男性では女性より長くなります。この差がフォルマント周波数の性別差を生み出す主要因です。
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【試験対策ポイント】
音声産出の音響モデル(線形予測理論)
| 要素 | 役割 | 変数性 |
|---|---|---|
| 声帯振動 | 振動源(周期波) | 周波数可変(基本周波数) |
| 声道 | 共鳴器(フィルタ) | 形状可変(舌位置で変化) |
| 放射特性 | 音圧への変換 | 相対的に固定 |
フォルマント周波数の決定要因
- F1:舌の高さに逆相関(高い→低いF1)
- F2:舌の前後位置に相関(前舌→高いF2)
- 声道長:男女差の主因(男性が長い→周波数低下)
年齢による声道長の変化
- 幼児(3歳):約7.5cm
- 小児(8歳):約9cm
- 成人女性:約16.5cm
- 成人男性:約17.5cm
キーワード:「独立性」「可変性」「加齢変化」