第21回 言語聴覚士国家試験 第56問
失語症第21回
意味システムの障害で成績が低下しない課題はどれか。
a.非語を復唱する。
b.線画を呼称する。
c.仮名単語を見て理解する。
d.仮名単語を音読する。
e.音声提示された仮名1文字を指さす。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
意味システムの障害では、「音韻システム」や「正字法システム」のみを使う課題では成績が保たれます。意味を経由しない処理、つまり音を音のまま処理したり、文字を文字のまま処理する課題は意味システム障害の影響を受けません。a(非語復唱)とe(音声提示文字指さし)は意味を必要としない処理であり、正答率が低下しません。
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【各選択肢の解説】
a. 非語を復唱する
✅ 正しい。非語(例「カビソ」)は実在しない単語であり、意味を持たないため、意味システムを経由しません。音韻ループ(音韻短期記憶)を使用して直接復唱でき、意味障害の影響を受けません。
b. 線画を呼称する
❌ 誤り。線画を見て物の名前を言う命名課題です。対象物の意味理解を経由して名詞を産生するため、意味システムの障害で著しく成績が低下します。失語症の評価では頻繁に低下が観察される課題です。
c. 仮名単語を見て理解する
❌ 誤り。文字で提示された単語の意味を理解する課題であり、意味システムへのアクセスが必須です。意味システム障害(例:意味性認知症)では理解が障害されるため成績が低下します。
d. 仮名単語を音読する
❌ 誤り。仮名で書かれた単語を音読する課題は、「仮名→音韻」の直接経路を使用しますが、実は意味を経由したルート(意味経由の読み)も一部関与します。しかし、より重要な理由は、意味システム障害患者では音読でも単語の熟悉度や意味的関連性の影響を受けるため、成績が低下します。
e. 音声提示された仮名1文字を指さす
✅ 正しい。音声で聞いた単語(仮名1文字レベル)を指さす課題は、音韻的な同定のみを必要とし、意味システムを経由しません。音韻情報から視覚的ターゲットを同定する直接経路が機能するため、意味障害の影響を受けません。
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【試験対策ポイント】
意味システムの階層的構造(情報処理経路)
| 処理経路 | 関連するシステム | 意味障害での成績 |
|---|---|---|
| 音声→音韻→復唱 | 音韻シス(意味を経由しない) | 保持(低下なし) |
| 文字→文字→音読 | 正字法シス(意味を経由しない) | 保持(低下なし) |
| 対象物→意味→名詞産生 | 意味システム必須 | 低下 |
| 文字→意味→理解 | 意味システム必須 | 低下 |
キーワード:
- 非語復唱が保持される→意味を使わない証拠
- 命名困難&意味理解障害=意味システム障害の典型像
- 音韻ループ(短期音韻記憶)が機能している→a,eの成績保持
- 仮名読みは「規則的読み」(音韻変換)と「意味経由」の両ルートが存在→dは意味の影響を受ける可能性あり
よくある間違い:
「d(音読)は仮名で機械的に読めるから意味システムと関係ない」と考えると誤り。実際には、単語音読でも意味が読字プロセスに影響することが知られています。