第21回 言語聴覚士国家試験 第58問
失語症第21回
自発性流暢、聴覚的理解低下、復唱良好な失語症を呈した脳梗塞患者。 出現しないのはどれか。
a.補充現象
b.反復言語
c.補完現象
d.語性錯語
e.反響言語
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a, b
この患者の失語症型は「超皮質性感覚失語」です。自発性流暢・聴覚的理解低下・復唱良好という特徴的な3軸パターンから、皮質下言語領域の障害により、意味理解は障害されても復唱機能(皮質間の自動的連結)は温存された状態です。この失語症型では「出現しない」症状と「出現する」症状の区別が重要です。
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【各選択肢の解説】
a. 補充現象
❌ 出現しない。補充現象(Completion)は「患者が聞いた音に無意識に続きを補う」現象で、Wernicke失語や超皮質性感覚失語でも「復唱が良好な患者」には典型的ではありません。むしろ理解が著しく障害された超皮質性感覚失語では補充現象は期待されません。
b. 反復言語
❌ 出現しない。反復言語(反復言語症候群)は検査者の言葉をそのまま繰り返す行動で、フロンタルロボ症候群(前頭葉眼窩前頭皮質障害)に特徴的です。超皮質性感覚失語の患者には出現が稀です。
c. 補完現象
✅ 出現する。補完現象は「患者が与えられた不完全な刺激(単語の一部など)から全体を自動的に補完する」現象です。復唱が良好で自動言語が温存された超皮質性感覚失語では出現します。
d. 語性錯語
✅ 出現する。聴覚的理解が低下した状態で、意図した語と異なる関連語を産出する錯語です。意味理解の障害に伴い、音韻的・意味的な錯語が出現します。
e. 反響言語
✅ 出現する。反響言語(echolalia)は検査者の言葉をそのまま自動的に繰り返す現象で、復唱が良好な超皮質性感覚失語では典型的に出現します。患者は意味を理解できませんが、自動的に繰り返すことは可能です。
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【試験対策ポイント】
超皮質性感覚失語の特徴と症状出現パターン
| 臨床特徴 | 超皮質性感覚失語 |
|---|---|
| 自発性 | 流暢 |
| 理解 | 著しく低下 |
| 復唱 | **良好** ← ここが最重要 |
| 命名 | 不良 |
出現する症状:
- 反響言語(復唱良好だから自動的に繰り返せる)
- 補완現象(自動言語回路が温存)
- 語性錯語(意味理解の低下のため)
- Wernicke失語的エラー
出現しない症状:
- 補充現象(理解低下が強い患者には典型的でない)
- 反復言語症候群(フロンタルロボ症候群の特徴)
キーワード:「復唱が良好」=皮質間の自動連結路が温存 → 自動言語現象(反響言語・補완現象)が出現、但し意味理解は障害されているため語性錯語も併存