第21回 言語聴覚士国家試験 第62問
高次脳機能障害第21回
誤っているのはどれか。
- 1.GCSは意識障害を評価する尺度である。
- 2.ある脳機能が一側半球に偏って存在することを脳機能の離断という。 ✓
- 3.痛み刺激に全く反応しないのはJSCで300と評価される。
- 4.二重乖離の原理は、ある脳機能とある脳部位との関係を確立する原理である。
- 5.Baillarger-Jacksonの原理とは意図的な行為と自動的な行為との乖離を指す。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — ある脳機能が一側半球に偏って存在することを脳機能の離断という。
「脳機能の離断」という用語は存在しません。問題文は「脳機能の側性化(ラテラリゼーション)」または「脳機能の局在」と混同しています。離断とは通常、脳梁損傷による両半球間の情報遮断を指します。正しくは「ある脳機能が一側半球に偏って存在することを脳機能の側性化(またはラテラリゼーション)」と表現します。
---
【各選択肢の解説】
1. GCSは意識障害を評価する尺度である。
✅ 正しい。Glasgow Coma Scale(GCS)は開眼反応・言語反応・運動反応の3項目で意識レベルを評価する国際標準尺度です。3~15点で、低いほど意識障害が重度です。
2. ある脳機能が一側半球に偏って存在することを脳機能の離断という。
❌ 誤り。これは「脳機能の側性化(ラテラリゼーション)」です。離断(dissociation)は脳梁損傷により両半球間の情報伝達が遮断される現象を指します。用語の誤用です。
3. 痛み刺激に全く反応しないのはJSCで300と評価される。
✅ 正しい。Japan Coma Scale(JCS)は覚醒度を評価し、痛み刺激に全く反応しない(深昏睡)状態を300と評価します。JCSは100系列(1桁)・200系列(2桁)・300(3桁)に分類されます。
4. 二重乖離の原理は、ある脳機能とある脳部位との関係を確立する原理である。
✅ 正しい。Double dissociation(二重乖離)は、患者Aが機能Xは障害されるが機能Yは保持し、患者Bが機能Yは障害されるが機能Xは保持する場合、機能XとYが独立していることを証明する神経心理学的原理です。脳部位と機能の関係を確立します。
5. Baillarger-Jacksonの原理とは意図的な行為と自動的な行為との乖離を指す。
✅ 正しい。Baillarger-Jackson の原理は、脳損傷により意識的・随意的な行為が障害されても、無意識的・自動的な行為は比較的保持されることを示します。例:Broca失語患者が自動的発話(歌唱)では流暢だが意図的発話は困難。
---
【試験対策ポイント】
高次脳機能の評価尺度・基本用語の整理
| 尺度/用語 | 定義 | 評価項目 | 範囲 |
|---|---|---|---|
| GCS | 意識レベル評価 | 開眼反応・言語反応・運動反応 | 3~15点 |
| JCS | 覚醒度評価 | 1桁(1~3)・2桁(10~30)・3桁(100~300) | 3~300 |
| 側性化(ラテラリゼーション) | 脳機能が一側に偏在 | 言語優位性は左90%(右利き) | — |
| 離断(dissociation) | 脳梁損傷による両半球間情報遮断 | 左右独立動作 | — |
| 二重乖離 | 2機能の独立性を証明 | 異なる患者で障害パターン逆転 | — |
重要:「離断」≠「側性化」。用語の厳密な区別が必須。