第21回 言語聴覚士国家試験 第63問
高次脳機能障害第21回
左半側空間無視の症状でないのはどれか。
- 1.左側から声をかけても右を向き続ける。
- 2.トレイの左側にあるおかずを残す。
- 3.左手の麻痺を否定する。 ✓
- 4.右ばかり曲がり、迷う。
- 5.車いすの左側のブレーキをかけ忘れる。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 左手の麻痺を否定する。
左半側空間無視は空間認識障害であり、左側にある物体や人・空間に「気づかない」ことが特徴です。一方、選択肢3は運動麻痺の否定であり、感覚認識の問題ではなく、左半側空間無視の症状ではありません。左手麻痺の自覚の有無は、むしろ失認(body schema障害)の領域に属します。
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【各選択肢の解説】
1. 左側から声をかけても右を向き続ける。
✅ 正しい。左側の聴覚情報(声)に気づかず、視覚的には右側のみ認識し続けるため右を向き続けます。これは左側への注意配分の低下を示す典型的な左半側空間無視の症状です。
2. トレイの左側にあるおかずを残す。
✅ 正しい。視覚的空間(トレイの左側)に存在する物体に気づかないため、食事時に左側のおかずを認識せず残します。左半側空間無視の代表的な日常生活障害です。
3. 左手の麻痺を否定する。
❌ 誤り。これは運動機能に関する自覚の問題(麻痺の有無を判定する問題)であり、空間認識障害である左半側空間無視の症状ではありません。むしろ左手麻痺の存在を否定することは失認(特に身体部位失認)に該当します。
4. 右ばかり曲がり、迷う。
✅ 正しい。左側への空間認識が欠落しているため、右折ばかり繰り返し、目的地への正確な経路認識ができず迷います。移動時の著しい方向感覚障害を示す症状です。
5. 車いすの左側のブレーキをかけ忘れる。
✅ 正しい。車いすの左側という空間的位置にあるブレーキに気づかないため、かけ忘れます。左半側空間無視による実生活での危険な症状です。
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【試験対策ポイント】
左半側空間無視vs失認:区別法
| 障害 | 障害対象 | 症状の例 |
|---|---|---|
| 左半側空間無視 | **外部空間**(左側にある物体・人・方向) | おかずを残す、左側から呼びかけに応じない、迷う |
| 失認(身体部位失認) | **身体イメージ**(自分の身体部位の認識) | 左手・左足の存在を否定、左側の身体部位の機能を認識できない |
| 半身麻痺 | **運動機能** | 左手が動かない、左足が動かない |
左半側空間無視の主症状チェック:
- 視覚的空間無視:目の前の左側の物を見ない
- 聴覚的空間無視:左側からの音に反応しない
- 運動空間無視:左側への動作を忘れる(ブレーキかけ忘れなど)
- 記述時の空間無視:左端が空く
頻出の紛らわしい選択肢:
選択肢3のような「左手麻痺の自覚の否定」は、左半側空間無視ではなく、病識欠如や身体部位失認として分類されます。国試では「症状は同じか、異なるか」を問う問題が頻出のため、障害の本質(空間か、運動か、認識か)を見極めることが重要です。