第21回 言語聴覚士国家試験 第64問
高次脳機能障害第21回
右半球損傷後に生じるコミュニケーション障害の特徴はどれか。
a.話が脱線しがちである。
b.単語の意味が理解できない。
c.言おうとする単語が出てこない
d.会話において役割交替ができない。
e.物語のテーマやポイントが分からない。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
右半球損傷によるコミュニケーション障害は「言語表現の問題」ではなく「言語使用や対話スキルの障害」に特徴があります。話が脱線しやすく、会話のルール(役割交替)が守れず、物語の大意が把握できないなど、文脈・プラグマティクス・高次な理解が障害されます。
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【各選択肢の解説】
a. 話が脱線しがちである。
✅ 正しい。右半球損傷では「話題維持」と「整理能力」が低下し、会話が脱線しやすくなります。これは左半球損傷の非流暢失語症とは異なり、流暢ではあるが「内容的に散漫」な特徴です。
b. 単語の意味が理解できない。
❌ 誤り。単語レベルの意味理解は左半球(言語野)の機能であり、右半球損傷では通常保持されます。右半球損傷では「文脈を踏まえた多義的解釈」が困難になります。
c. 言おうとする単語が出てこない。
❌ 誤り。命名困難(語がでない)は左半球損傷に特有の症状で、特にブローカ失語症やウェルニッケ失語症で見られます。右半球損傷患者は語彙へのアクセスは良好です。
d. 会話において役割交替ができない。
✅ 正しい。右半球損傷患者は「話者交替のシグナル認知」「相手の述べたことに応答する」などの対話ルールが守れなくなります。これは右半球のプラグマティック機能障害の典型です。
e. 物語のテーマやポイントが分からない。
✅ 正しい。右半球は「全体的な統合」「抽象的理解」「推論」を担当するため、物語の主旨やテーマ(各文から推測される大意)が理解困難になります。左半球損傷では、むしろ個々の単語や文は理解できます。
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【試験対策ポイント】
左半球損傷(失語症)vs 右半球損傷コミュニケーション障害
| 項目 | 左半球損傷(失語症) | 右半球損傷 |
|---|---|---|
| 単語の意味理解 | 障害あり(特にWernicke失語) | 保持 |
| 文法・文構造 | 障害あり | 保持 |
| 語が出ること | 困難(命名障害) | 容易(流暢) |
| 話の流れ・整理 | 困難だが努力的 | 脱線しやすく散漫 |
| 役割交替・対話ルール | 保持 | 障害 |
| 物語の大意・推論 | 保持(内容理解可) | 困難 |
| 比喩・言葉遊び | 保持 | 困難 |
| プラグマティック機能 | 保持 | 低下 |
**右半球損傷の特徴をつかむコツ:** 左半球は「システムとしての言語」、右半球は「言語をどう使うか」という機能分担を理解すること。