第21回 言語聴覚士国家試験 第76問
音声障害第21回
喉頭摘出後の状態として誤っているのはどれか。
- 1.臭いが分かりにくくなる。
- 2.便秘しやすくなる。
- 3.発声できなくなる。
- 4.いきめなくなるい。
- 5.むせやすくなる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — むせやすくなる。
喉頭摘出により、咽頭と食道が分離されるため、喉頭が完全に喪失して音声機能が失われます。同時に、呼吸と嚥下が完全に分離されることで、むしろむせにくくなります。むせは異物が気道に侵入したときの防御反射ですが、喉頭摘出後は食物が直接食道に流入するため、誤嚥そのものが生理的に起こりません。
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【各選択肢の解説】
1. 臭いが分かりにくくなる。
✅ 正しい。喉頭摘出後、気流が口腔・咽頭を通過しなくなり、嗅球への香り分子の到達が低下するため、嗅覚が減退します。これは機能的嗅覚障害の典型例です。
2. 便秘しやすくなる。
✅ 正しい。喉頭摘出によって排便時の腹圧(いきみ)が大幅に低下します。腹圧形成には声門閉鎖が必須であり、喉頭が失われると効果的な腹圧を生成できず、便通が悪くなります。
3. 発声できなくなる。
✅ 正しい。喉頭摘出によって音声源である声帯が完全に消失するため、発声不可能になります。術後は食道音声や人工喉頭などの代替手段が必要になります。
4. いきめなくなる。
✅ 正しい。いきみには声門閉鎖による腹腔内圧上昇が必須です。喉頭摘出で声門が失われると、排便・排尿・分娩時など、あらゆる場面での有効な腹圧形成が不可能になります。
5. むせやすくなる。
❌ 誤り。喉頭摘出により呼吸と嚥下が完全に分離されるため、むしろむせにくくなります。むせは気道への誤嚥が起きたときの防御反射ですが、喉頭がなければ食物が気道に侵入することが生理的にあり得ないため、むせは消失します。
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【試験対策ポイント】
喉頭摘出の主要な影響(5項目整理)
| 機能 | 変化 | 理由 |
|---|---|---|
| 音声 | 消失 | 声帯の完全喪失 |
| 呼吸 | 咽頭経由から消失 | 気管孔からのみ呼吸 |
| 嚥下 | 安全に(誤嚥なし) | 呼吸・嚥下の分離 |
| むせ | 消失 | 気道への異物進入が不可能 |
| いきみ | 消失 | 声門閉鎖不可能 |
| 嗅覚 | 低下 | 気流が嗅球に到達しない |
| 便通 | 悪化 | 腹圧形成が不可能 |
紛らわしい点:
- 「むせ」と「誤嚥」は別概念。喉頭摘出後は物理的に気道に食物が流入しないため、むせは起こらない
- 「いきみ」「便秘悪化」「嗅覚低下」は全て喉頭摘出の実際の後遺症であり、患者教育で重要