第21回 言語聴覚士国家試験 第81問
運動障害性構音障害第21回
筋萎縮側索硬化症にみられる発話の特徴はどれか。
- 1.閉鼻声を呈する。
- 2.同語を反復する。
- 3.発話速度が遅い。 ✓
- 4.発話が断続的に途切れる。
- 5.声の強さの変動が大きい。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 発話速度が遅い。
筋萎縮側索硬化症(ALS)は下位運動ニューロン障害と上位運動ニューロン障害が同時に存在する混合性運動障害を呈します。これにより声帯・口腔・咽頭筋の筋力低下と痙性が進行し、努力的で遅い発話が特徴となります。発話速度の低下は、筋力が消耗しやすく、努力的に話す必要があるために生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 閉鼻声を呈する。
❌ 誤り。閉鼻声(鼻をつまんだような音:m→b、n→d)は軟口蓋挙上不全による開鼻声の逆で、鼻腔を遮断する病態に伴います。ALSの運動障害性構音障害では弛緩性成分が優位な場合は開鼻声を呈し、閉鼻声は典型的ではありません。
2. 同語を反復する。
❌ 誤り。同語反復(palilalia)は、パーキンソン病などの運動低下性構音障害や、前頭葉機能障害に伴う現象で、ALS特有の症状ではありません。ALSでは見られません。
3. 発話速度が遅い。
✅ 正しい。ALSは弛緩性(下位運動ニューロン)成分と痙性(上位運動ニューロン)成分の混合型です。両者ともに筋力低下と筋肉の疲労があり、発話に努力を要するため、結果として発話速度は遅くなります。これはALSの混合性運動障害性構音障害の最も特徴的な所見です。
4. 発話が断続的に途切れる。
❌ 誤り。断続的に途切れる発話(scanning speech)は小脳性失調に伴う失調性構音障害の特徴です。ALSでは発話速度が低下しますが、断続的に途切れる「断綴性」(scanning)ではありません。
5. 声の強さの変動が大きい。
❌ 誤り。むしろ逆です。ALSでは声の強さは低下し、微弱となる傾向があります。声の強さの変動が大きいのは、運動低下性構音障害(パーキンソン病など)では加速度現象による変化が見られることがありますが、ALSの主要な特徴ではありません。
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【試験対策ポイント】
Mayo分類における構音障害の特徴(重要な区別)
| タイプ | 原因 | 発話速度 | 呼吸 | 典型疾患 |
|---|---|---|---|---|
| 痙性 | 両側錐体路損傷 | 遅い | 努力的 | 偽性球麻痺 |
| 弛緩性 | 下位運動ニューロン | 遅い/正常 | 努力的 | 球麻痺・ポリオ後症候群 |
| **混合性** | **痙性+弛緩性** | **遅い** | **著しく努力的** | **ALS** |
| 失調性 | 小脳損傷 | 正常/遅い | 正常 | 小脳変性疾患 |
| 運動低下性 | 錐体外路損傷 | 加速傾向 | 正常 | パーキンソン病 |
ALSに関する構音障害の臨床所見
- 弛緩性成分:筋萎縮による筋力低下→開鼻声・気息性嗄声
- 痙性成分:上位運動ニューロン障害→努力性嗄声・緊張性構音
- 複合結果:発話速度の低下が最顕著(努力的かつ筋疲労性)
- 進行に伴い: