第21回 言語聴覚士国家試験 第82問
運動障害性構音障害第21回
運動障害性構音障害の種類と病変部との組合せで正しいのはどれか
- 1.弛緩性 ― 上位運動ニューロン
- 2.痙性 ― 下位運動ニューロン
- 3.失調性 ― 延 髄
- 4.運動低下性 ― 錐体外路 ✓
- 5.運動過多性 ― 小 脳
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 運動低下性 ― 錐体外路
運動低下性構音障害(hypokinetic dysarthria)はパーキンソン病などの錐体外路系疾患に伴う構音障害です。錐体外路系は大脳基底核を含み、運動の自動性・スピード・振幅を調整する機構であり、これが障害されると音声の加速現象、低下、単調性などが生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 弛緩性 ― 上位運動ニューロン
❌ 誤り。弛緩性構音障害は下位運動ニューロン(脳神経核・末梢神経)の障害で生じます。球麻痺が代表的で、開鼻声・気息性嗄声を呈します。上位運動ニューロン障害は痙性を引き起こします。
2. 痙性 ― 下位運動ニューロン
❌ 誤り。痙性構音障害は両側の上位運動ニューロン(皮質脊髄路)障害で生じ、偽性球麻痺が代表的です。下位運動ニューロン障害は弛緩性を引き起こします。
3. 失調性 ― 延髄
❌ 誤り。失調性構音障害は小脳の障害で生じます。延髄障害は下位運動ニューロン障害(弛緩性)として働きます。失調性では断綴性発話(スキャニングスピーチ)、音声の変動性が特徴です。
4. 運動低下性 ― 錐体外路
✅ 正しい。パーキンソン病などの錐体外路系疾患に伴い、音声が低下し、加速現象、単調性、不規則な音声変動が生じます。これが運動低下性構音障害の定義です。
5. 運動過多性 ― 小脳
❌ 誤り。小脳障害は失調性構音障害を引き起こします。運動過多性構音障害はハンチントン病などの不随意運動疾患(錐体外路系の過活動)で生じ、小脳ではありません。
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【試験対策ポイント】
Mayo分類による運動障害性構音障害の5分類
| 分類 | 病変部 | 神経学的特徴 | 音声特性 |
|---|---|---|---|
| 弛緩性 | 下位運動ニューロン | 球麻痺 | 開鼻声、気息性嗄声 |
| 痙性 | 両側上位運動ニューロン | 偽性球麻痺 | 努力性嗄声、小さい声 |
| 失調性 | 小脳 | 失調症状 | 断綴性発話(スキャニング) |
| 運動低下性 | 錐体外路 | パーキンソン症状 | 低下、加速現象、単調 |
| 運動過多性 | 錐体外路(過活動) | 不随意運動 | 音声変動、不規則 |
紛らわしい3つのポイント:
- 小脳は「失調性」(運動過多性ではない)
- パーキンソン病は「運動低下性」(弛緩性ではない)
- 延髄は「下位運動ニューロン障害→弛緩性」(失調性ではない)