第21回 言語聴覚士国家試験 第86問
嚥下障害第21回
気管切開を受けている嚥下障害患者について正しいのはどれか。
- 1.発声はできない。
- 2.嚥下時の喉頭挙上が制限される。 ✓
- 3.カフ付きカニューレは飲食物の誤嚥を防止できる。
- 4.経口摂取が自立できるまで気管切開孔を閉鎖してはならない。
- 5.気管吸引は医師、歯科医師、および看護師のみが行うことができる。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 嚥下時の喉頭挙上が制限される。
気管切開チューブの存在により、気管が固定され、嚥下時に必要な喉頭の上方移動が物理的に制限されます。これにより嚥下反射が阻害される可能性があり、気管切開患者における嚥下障害の一因となります。
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【各選択肢の解説】
1. 発声はできない。
❌ 誤り。気管切開チューブのカフを減圧するか、弁付きカニューレ(speaking valve)を使用することで呼気を声帯に流すことができ、発声が可能になります。完全に発声不可とは限りません。
2. 嚥下時の喉頭挙上が制限される。
✅ 正しい。気管切開チューブによって気管が固定されるため、嚥下時に必要な喉頭挙上運動が制限されます。これは誤嚥のリスク要因となる重要な知識です。
3. カフ付きカニューレは飲食物の誤嚥を防止できる。
❌ 誤り。カフは気道感染や呼吸困難を防ぐためのものであり、誤嚥防止は目的ではありません。カフの有無に関わらず、嚥下反射が低下していれば誤嚥は起こります。これは試験の頻出陷阱です。
4. 経口摂取が自立できるまで気管切開孔を閉鎖してはならない。
❌ 誤り。気管切開孔の閉鎖時期は「経口摂取の自立度」ではなく「呼吸機能の自立」が判断基準です。経口摂取が可能であっても呼吸が不安定であれば気管切開は継続する必要があります。
5. 気管吸引は医師、歯科医師、および看護師のみが行うことができる。
❌ 誤り。言語聴覚士は「気管吸引」を実施できる国家資格職です。また訓練された介護職員も一定条件下で実施可能です。医師・歯科医師・看護師のみとする記述は誤りです。
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【試験対策ポイント】
気管切開患者の嚥下管理:重要否定知識
項目 | 誤り | 正し
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発声可能性 | 「発声不可」 | 弁付きカニューレで可能
カフの役割 | 「誤嚥防止」 | 気道感染・呼吸困難防止
閉鎖時期 | 「経口摂取自立時」 | 「呼吸機能自立時」
気管吸引実施者 | 「医師・看護師のみ」 | STも実施可(法的に認容)
頻出陷阱:カフは誤嚥を防がない
→ カフは気管内の隙間を塞ぎ、気道感染を防ぐだけ。嚥下反射低下時の誤嚥は防止できません。
喉頭挙上制限の臨床意義
→ 咽頭期の障害につながり、誤嚥リスク増加。喉頭挙上訓練や頸部可動性改善が治療になります。