STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第91問

小児聴覚障害第21回
難聴幼児指導における聴覚口話法について誤っているのはどれか。 a.残存聴力を活用する。 b.発達年齢に応じて行う。 c.単感覚法である。 d.日本独自の指導法である。 e.聴覚的フィードバックの形成を測る。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d 聴覚口話法は、残存聴力を活用しながら聴覚と視覚の「両方」を組み合わせた総合的な指導法であり、単感覚法ではありません。また、この手法は日本独自ではなく、欧米の難聴教育を基盤に発展した国際的な指導法です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 残存聴力を活用する。 ✅ 正しい。聴覚口話法の基本原則は、どの程度の難聴児であっても「残存聴力がある」と仮定し、それを最大限活用することにあります。補聴器や人工内耳の装用を前提として、聴力検査結果に基づいた指導が行われます。 b. 発達年齢に応じて行う。 ✅ 正しい。聴覚口話法は暦年齢ではなく発達年齢(言語発達段階)に応じた段階的な指導が特徴です。音韻習得順序や文法構造の発達段階を考慮した個別対応が行われます。 c. 単感覚法である。 ❌ 誤り。これは最も重要な誤りです。聴覚口話法は「聴覚と視覚を統合的に活用」する方法であり、決して単感覚法ではありません。口唇読話(唇の動き)と聴覚情報を同時に処理することで、より効果的なコミュニケーション習得を目指します。 d. 日本独自の指導法である。 ❌ 誤り。聴覚口話法は欧米(特にスウェーデンなど北欧)に源流を持ち、国際的に広く採用されている指導法です。日本では戦後にこの方法論を導入・発展させましたが、日本独自ではなく、外来の理論に基づいています。 e. 聴覚的フィードバックの形成を測る。 ✅ 正しい。聴覚口話法の評価項目として、児童が自分の音声に対する聴覚的フィードバック(自聴覚的監視)を形成できたかどうか、その程度を測定することは重要です。これにより構音改善の自己修正能力が養われます。 --- 【試験対策ポイント】 難聴幼児指導法の比較表: | 指導法 | 聴覚活用 | 視覚活用 | 手指記号 | 分類 | |---|---|---|---|---| | 聴覚口話法 | ◎ | ◎ | ✗ | 両感覚法 | | 手話言語法 | ✗ | ◎ | ◎ | 視覚中心 | | 同時双生法 | ◎ | ◎ | ◎ | 複合法 | | 聴覚口話法(狭義) | ◎ | △ | ✗ | 聴覚優位 | 重要概念の整理: ・「単感覚法 vs 両感覚法」→ 聴覚口話法は後者(口唇読話含む) ・「日本独自 vs 国際的」→ 聴覚口話法は後者(北欧・欧米発祥) ・「発達年齢に応じた段階性」→ すべての優良な小児指導に共通 ・「聴覚的フィードバック」→ 発声自己修正能力を育成するキー概念 頻出誤答パターン: 「聴覚『口話』法=聴覚『だけ』?」という誤読が生じやすいが、「口話」は「話す+読む」を意味し、必ず視覚成分を含む。
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