第21回 言語聴覚士国家試験 第92問
小児聴覚障害第21回
聴覚障害児の言語指導において適切でない組み合わせはどれか。
- 1.前言語期 ― 養育者との共同注視
- 2.単語期 ― 動詞使用の強化 ✓
- 3.語から文への移行期 ― 50~300語の語彙指導
- 4.文の形成期 ― 基本的な構文構造の習得
- 5.文章構成期 ― 書記言語習得の促進
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 単語期 ― 動詞使用の強化
聴覚障害児の言語発達段階では、単語期に優先して指導すべきは「名詞」です。言語習得の初期段階では、具体的で視覚的に認識しやすい名詞から語彙が増える傾向にあり、これは健聴児でも聴覚障害児でも同じです。動詞の習得・強化は、より複雑な語から文への移行期以降が適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 前言語期 ― 養育者との共同注視
✅ 正しい。前言語期(生まれ~1歳前後)は、養育者との相互作用を通じて共同注視(同じ対象に注意を向ける)を形成することが、後の言語獲得基盤となります。聴覚障害児では視覚的な共同注視がとりわけ重要です。
2. 単語期 ― 動詞使用の強化
❌ 誤り。単語期(1歳~1歳6ヶ月頃)の主な課題は「名詞の語彙拡大」です。視覚的で具体的な名詞(物の名前)から習得が進み、動詞の習得・強化は文法構造が複雑になる語から文への移行期以降が適切です。
3. 語から文への移行期 ― 50~300語の語彙指導
✅ 正しい。健聴児の言語発達では語彙50語に達すると2語文が出現し始めることが知られています。この時期に語彙を50~300語に拡大させることが、文の構成へ向けた準備段階として重要です。
4. 文の形成期 ― 基本的な構文構造の習得
✅ 正しい。文の形成期は、助詞や時制などの基本的な構文構造の習得に焦点を当てる段階です。聴覚障害児にとって文法規則の内在化は困難であり、系統的な指導が必要です。
5. 文章構成期 ― 書記言語習得の促進
✅ 正しい。文章構成期は文と文のつながりが理解でき、より複雑な言語運用が可能になる段階です。この時期から書記言語(読み書き)の習得を促進することが発達的に適切です。
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【試験対策ポイント】
聴覚障害児の言語発達段階と指導内容
| 段階 | 時期 | 主要な指導目標 | キーワード |
|---|---|---|---|
| 前言語期 | 0~1歳前後 | 共同注視・相互作用の形成 | 養育者との関わり |
| 単語期 | 1~1.5歳 | **名詞語彙の拡大** | 初語、具体物 |
| 語→文移行期 | 1.5~2.5歳 | 語彙50~300語、初期文法 | 2語文出現 |
| 文の形成期 | 2.5~4歳 | 構文構造・助詞・時制習得 | 文法化 |
| 文章構成期 | 4歳以上 | 複文・書記言語 | 読み書き |
**紛らわしさ対策**
- 「単語期に動詞強化」が誤りなのは、動詞は名詞より抽象度が高く、初期段階では習得効率が低いためです
- 名詞→動詞→形容詞という語彙拡大の順序は言語学的な原則です