第21回 言語聴覚士国家試験 第93問
成人聴覚障害第21回
加齢性難聴について誤っているのはどれか。
- 1.左右耳の聴力差は少ない。
- 2.徐々に中低音も悪化する。
- 3.語音明瞭度が低下する。
- 4.人工内耳の適応になる。
- 5.聴覚中枢機能は保持される。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 聴覚中枢機能は保持される。
加齢性難聴では、高音域の感音難聴が進行する一方で、聴覚中枢機能(言語理解や音声処理能力)の加齢による低下も同時に起こります。「聴覚中枢機能は保持される」という記述は誤りで、実際には中枢機能の低下が音声認知困難をさらに悪化させるため、語音明瞭度の低下が生じやすくなります。
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【各選択肢の解説】
1. 左右耳の聴力差は少ない。
✅ 正しい。加齢性難聴は両耳対称性に進行する特徴があり、左右耳の聴力差は最小限です。これにより、両耳聴が比較的保持されます。
2. 徐々に中低音も悪化する。
✅ 正しい。加齢性難聴は高音域から始まりますが、加齢の進行とともに中低音域へと悪化が拡大していきます。これは加齢による内耳全体の変性を反映しています。
3. 語音明瞭度が低下する。
✅ 正しい。高音域の喪失により子音(特に高周波の摩擦音)の聴取が困難になり、さらに聴覚中枢機能の低下も加わるため、語音明瞭度は著しく低下します。
4. 人工内耳の適応になる。
✅ 正しい。高度~最高度の感音難聴となった加齢性難聴患者でも、聴覚中枢機能が保持されていれば人工内耳の適応候補となります。ただし中枢機能の低下が著しい場合は効果が限定的です。
5. 聴覚中枢機能は保持される。
❌ 誤り。加齢に伴い内耳の障害だけでなく、聴覚路全体(中枢を含む)の機能低下が生じます。特に高齢者では聴覚中枢処理速度の低下、信号検出能力の低下が顕著で、語音弁別や騒音下聴取能力の低下をもたらします。
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【試験対策ポイント】
加齢性難聴の特徴まとめ表
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 周波数特性 | 高音域優位(4kHz以上)→徐々に中低音へ拡大 |
| 両耳性 | 対称性:左右差は少ない |
| 進行速度 | 緩徐:年0.5~1dBの進行 |
| 語音明瞭度 | 著しく低下(中枢機能低下と相まって) |
| 聴覚中枢機能 | 低下する(保持されない)←重要 |
| 人工内耳適応 | 可(中枢機能が保持されていれば) |
| リクルートメント現象 | なし(感音難聴:内耳性) |
キーワード:
- 「加齢性難聴では聴覚中枢機能の低下も同時進行」が最重要知識
- 「両耳対称性」=左右差小
- 語音明瞭度低下の原因=高周波喪失+中枢処理低下の相乗効果