STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第94問

聴力検査第21回
両耳感音難聴で聴覚補充現象を調べる検査はどれか。 a.バランステスト b.語音了解閾値検査 c.SISI検査 d.自記オージオメトリ e.耳音響放射 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c.SISI検査 d.自記オージオメトリ 聴覚補充現象(loudness recruitment)は、内耳性難聴(特に感音難聴)に特有な現象で、「小さい音は聞こえにくいが、大きい音ではほぼ正常に聞こえる」という現象です。SISI検査と自記オージオメトリは、この補充現象を直接評価できる検査です。 --- 【各選択肢の解説】 1. バランステスト ❌ 誤り。バランステストは平衡機能を評価する検査で、聴覚補充現象の評価には使用されません。聴覚補充現象は聴力レベルの検査であり、前庭機能とは無関係です。 2. 語音了解閾値検査 ❌ 誤り。語音了解閾値検査(SRT:Speech Reception Threshold)は、会話音の最小聴取レベルを測定する検査です。補充現象の有無を診断する目的ではなく、純音閾値との比較に用いられます。 3. SISI検査 ✅ 正しい。SISI検査(Short Increment Sensitivity Index)は、1kHz以上の周波数で聴力レベルの小さな増分(1dB)に対する感度を測定します。補充現象がある場合は陽性率が高く(70%以上)、感音難聴の診断に有用です。 4. 自記オージオメトリ ✅ 正しい。自記オージオメトリ(自動変動周波数オージオメトリ)では、検査周波数を連続的に変化させながら被検者が反応ボタンを押す方法で、聴力の増減パターンから補充現象を判断できます。補充現象がある場合は上昇脚が鋭くなります。 5. 耳音響放射 ❌ 誤り。耳音響放射(OAE)は外有毛細胞の機能を評価する検査で、客観的聴覚検査として新生児スクリーニングに用いられます。補充現象の主観的評価には使用されません。 --- 【試験対策ポイント】 聴覚補充現象の評価検査と特性 | 検査名 | 方法 | 補充現象の評価 | 所見 | |---|---|---|---| | SISI検査 | 1dB増分への反応率測定 | ✅ 直接評価可 | 陽性率70%以上で補充現象あり | | 自記オージオメトリ | 連続周波数変化での追従 | ✅ 直接評価可 | 上昇脚が鋭い(補充現象あり) | | Fowea test | 異なる周波数での音圧比較 | ✅ 補充現象検査 | 試験に出題頻度は低い | | バランステスト | 平衡機能評価 | ❌ 無関係 | 前庭器官の評価 | | 語音了解閾値 | 会話音の聴力レベル測定 | ❌ 補充現象評価不可 | 純音聴力との比較用 | | OAE | 外有毛細胞機能検査 | ❌ 評価不可 | 客観的スクリーニング検査 | 補充現象の臨床的意義 - 内耳性難聴(感音難聴)に特有 - 後迷路性難聴では「補充現象なし」(これが鑑別ポイント) - 中耳性難聴でも補充現象は「出現しない」
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