STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第96問

成人聴覚障害第21回
聴覚障害者の読話について誤っているのはどれか。
  1. 1.日本語の口形は15種類ある。
  2. 2.閉唇子音は開唇子音に比べて読話情報量が多い。
  3. 3.幼児期発症の聴覚障害者は約70%の発話を読話で理解する。 ✓
  4. 4.「乾杯」と「販売」の口形情報は同じである。
  5. 5.話し手の表情は読み手の読話量に影響する。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 幼児期発症の聴覚障害者は約70%の発話を読話で理解する。 幼児期発症の聴覚障害者の読話理解率は一般的に「30~40%程度」とされており、約70%という数値は過度に高い。読話だけで全ての音声情報を捉えることは困難であり、特に幼児期から読話に依存する聴覚障害者でも、不明瞭な音や口形が同じ音などの理由から、70%の理解率には達しません。残りの情報は文脈や手指言語などの補助手段で補われます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 日本語の口形は15種類ある。 ✅ 正しい。日本語の子音・母音の組み合わせにおいて、読話で識別可能な口形は約15種類にまとめられるとされています。これは音韻体系よりも少なく、複数の異なる音が同じ口形を持つ(同形音)という読話の重大な限界を生み出します。 2. 閉唇子音は開唇子音に比べて読話情報量が多い。 ✅ 正しい。閉唇子音(両唇を閉じる「パ・バ・マ」など)は口形の変化が大きく目立つため、視覚的に識別しやすく読話情報量が豊富です。一方、開唇子音(「カ・タ・サ」など)は奥舌や咽頭での調音のため、口形の変化が小さく読話情報が限定的です。 3. 幼児期発症の聴覚障害者は約70%の発話を読話で理解する。 ❌ 誤り。幼児期発症の聴覚障害者の読話理解率は「30~40%程度」であり、70%は過度に高い推定値です。残りの60~70%は、文脈推測や補聴器の補助、手指言語などの他の手段に依存します。 4. 「乾杯」と「販売」の口形情報は同じである。 ✅ 正しい。「乾杯」の「パイ」と「販売」の「パイ」は音が異なります(イの位置違い)が、両者とも「パ+開き具合の口形」で始まるため、読話時には同じ口形に見えます。これは読話の同形音の典型例で、文脈による補完が必要です。 5. 話し手の表情は読み手の読話量に影響する。 ✅ 正しい。話し手がアイコンタクト、眉動き、頷きなどの豊かな表情・表現を使えば、聴覚障害者の読話効率は上がります。逆に無表情で早口の話者は読話を困難にします。これは読話が「純粋な口形認識」ではなく、全体的な非言語コミュニケーション情報に影響される多感覚統合過程であることを示します。 --- 【試験対策ポイント】 読話の基本概念整理 | 項目 | 詳細 | |---|---| | 日本語の口形種類 | 約15種類(音韻数よりはるかに少ない) | | 同形音(ホモラビアル) | 複数の異なる音が同一の口形(「カ」と「サ」など) | | 読話理解率(幼児期発症) | 30~40%程度(70%は誤り) | | 閉唇子音の特徴 | 口形変化が大きく、読話情報が豊富(パ・バ・マ) | | 開唇子音の特徴 | 口形変化が小さく、読話情報が限定的(カ・タ・サ) | | 口形が同じペア | 「乾杯」=「販売」、「体」=「待」など | | 読話に影響する要因 | 話し
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