第21回 言語聴覚士国家試験 第97問
補聴器・人工内耳第21回
補聴器について誤っている組み合わせはどれか。
a.無線通信機能 ― 反響音の軽減
b.ハウリング抑制機能 ― オープンフィッティング
c.雑音抑制機能 ― 内部雑音の抑制
d.ノンリニア増幅 ― 衝撃音の低減
e.デュアルマイクロホン ― 指向性機能
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
補聴器の機能と技術的意義を正確に理解することが必要です。特に「c.雑音抑制機能」と「d.ノンリニア増幅」の内容が誤りです。c は「内部雑音」を対象とした機能ではなく、d は「衝撃音の低減」を直接的な目的としていません。
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【各選択肢の解説】
a. 無線通信機能 — 反響音の軽減
✅ 正しい。補聴器同士がワイヤレスで通信することで、両耳の補聴器が連動し、マイクロホン入力の信号交換が可能になります。これにより反響音(エコー)の軽減に貢献します。
b. ハウリング抑制機能 — オープンフィッティング
✅ 正しい。オープンフィッティングは低周波の漏れやすい適合方式であり、ハウリングが起きやすい環境です。そのためハウリング抑除機能(位相反転・フィードバック相殺など)がとくに重要とされています。
c. 雑音抑制機能 — 内部雑音の抑制
❌ 誤り。雑音抑制機能は「外部からの環境雑音」(バックグラウンドノイズ)を低減することが主目的です。補聴器の「内部雑音」は電気回路ノイズであり、これ自体を「雑音抑制機能」で抑制することはできません。内部雑音を減らすのは回路設計の問題です。
d. ノンリニア増幅 — 衝撃音の低減
❌ 誤り。ノンリニア増幅(圧縮増幅)は「入力音圧に応じて増幅率を変える」機能です。小さい音を多く増幅し、大きい音を少なく増幅することで、ダイナミクスレンジを圧縮し聴覚補償を行います。衝撃音の低減を直接的な目的としていません。衝撃音対策は別の機能(インパルス雑音抑制機能)で行われます。
e. デュアルマイクロホン — 指向性機能
✅ 正しい。複数のマイクロホンを装備することで、音の到来方向を認識し、前方の音声を強調・後方雑音を減弱させるなど指向性機能が実現されます。
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【試験対策ポイント】
補聴器の機能と目的の対応関係(紛らわしい項目に注意)
| 機能 | 目的・対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 雑音抑制 | 環境雑音(外部)→低減 | 内部雑音ではない |
| ノンリニア増幅 | ダイナミクスレンジ圧縮 | 衝撃音低減が主目的ではない |
| ハウリング抑制 | フィードバック音→相殺 | オープンフィッティングで重要 |
| デュアルマイクロホン | 指向性機能→実現 | 複数MICで位置推定可能 |
| 無線通信機能 | 両耳連動→反響音軽減 | ワイヤレス両耳補聴 |
重要な否定知識:
- 「雑音抑制機能」≠「内部雑音対策」(内部雑音は設計段階の課題)
- 「ノンリニア増幅」≠「衝撃音低減」(圧縮増幅が本質)
- 衝撃音対策には別途「インパルス雑音抑制」機能が用いられる