STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第98問

補聴器・人工内耳第21回
補聴器について誤っている組み合わせはどれか。 a.音響利得 ― 入力音圧レエルと鼓膜面上の音圧レベルとの差 b.実耳挿入利得 ― 出力音圧レベルと入力音圧レベルとの差 c.ファンクショナルゲイン ― 補聴器装用時と非装用時との閾値の差 d.ハーフゲイン ― 聴力レベルの半分を利得とする調製法 e.裸耳利得 ― 外耳道入口部の音圧レベルと鼓膜面上の音圧レベルの差 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b 補聴器の利得は複数の定義方法があり、「どの地点の音圧を比較するか」の違いで区別されます。aとbの定義は互いに矛盾しており、特にbは「出力と入力の差」という誤った説明です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 音響利得 — 入力音圧レベルと鼓膜面上の音圧レベルとの差 ❌ 誤り。音響利得は「補聴器の出力音圧レベルと入力音圧レベルとの差」です。bの説明が正しい定義であり、aは不正確です。鼓膜面の音圧を測定対象にすると「実耳挿入利得(REAR)」や「外耳道での利得」に該当します。 b. 実耳挿入利得 — 出力音圧レベルと入力音圧レベルとの差 ❌ 誤り。実耳挿入利得(REAR: Real Ear At the Receiver)は「補聴器装用時と非装用時における鼓膜面上の音圧レベルの差」です。aの説明が実耳挿入利得に近い定義であり、単純な「出力と入力の差」ではありません。aとbは定義が入れ替わっています。 c. ファンクショナルゲイン — 補聴器装用時と非装用時との閾値の差 ✅ 正しい。補聴器装用時の聴覚閾値と非装用時の聴覚閾値の差をdBで表した値です。実測による実用的な指標であり、受け手の主観的な聞こえを反映します。 d. ハーフゲイン — 聴力レベルの半分を利得とする調製法 ✅ 正しい。難聴者の増幅を決定する簡便な方法として、聴力レベルの50%を補聴器の利得とする調製規則です。ただし全周波数帯で等しく適用するわけではなく、周波数特性による調整が必要です。 e. 裸耳利得 — 外耳道入口部の音圧レベルと鼓膜面上の音圧レベルの差 ✅ 正しい。正常耳の外耳道共鳴周波数(約3000Hz)による約30dBの増幅効果を示します。補聴器の利得計算時にこの裸耳利得を加味することで、より正確な実耳利得が得られます。 --- 【試験対策ポイント】 補聴器の利得の種類と定義 | 利得の種類 | 定義 | 測定方法 | |---|---|---| | 音響利得 | 補聴器出力音圧 − 入力音圧 | カプラ測定(人工耳) | | 実耳挿入利得(REAR) | 装用時鼓膜面音圧 − 非装用時鼓膜面音圧 | マイクロホン挿入法 | | ファンクショナルゲイン | 装用時聴覚閾値 − 非装用時聴覚閾値 | 純音聴力検査による実測 | | 裸耳利得 | 外耳道入口 − 鼓膜面の音圧差(正常耳) | 約30dB@3000Hz | 頻出混同ポイント - aとbの定義が入れ替わりやすい(a=実耳、b=音響、が互いに逆) - ハーフゲイン(50%)は簡便法だが、周波数によって調整が必要 - 裸耳利得は「外耳道の共鳴特性」を示す客観値 - ファンクショナルゲインは「実際の聞こえ」を示す主観値
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