第21回 言語聴覚士国家試験 第99問
補聴器・人工内耳第21回
11歳の人工内耳装用児。一対一の会話では不自由がないものの、教室では騒音のため聞き取りが難しいと訴えている。対応として適切でないのはどれか。
- 1.デジタル無線通信システムを用いる。
- 2.机や椅子の足にカバーをする。
- 3.プログラムを調整してC値(MC値)をあげる。 ✓
- 4.両耳の人工内耳を検討する。
- 5.ノートテイクを利用する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — プログラムを調整してC値(MC値)をあげる。
人工内耳の騒音環境での聞き取り困難に対する対応では、C値(最大刺激電流)を上げることは適切ではありません。C値を上げると不快感が増し、むしろ装用児の満足度低下につながります。教室での騒音対策には、環境調整や補助聴覚システムの導入、両耳装用による聴取能力向上などが有効です。
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【各選択肢の解説】
1. デジタル無線通信システムを用いる。
✅ 正しい。教師のマイクからデジタル無線で直接信号を装用児の人工内耳プロセッサに送信できるため、環境騒音を大幅に回避できます。FM補聴器と同様の原理で、教室内の騒音環境に非常に有効です。
2. 机や椅子の足にカバーをする。
✅ 正しい。床からの振動音を減らし、教室全体の背景騒音レベルを低下させる環境調整です。吸音性カバーの導入は低コストで実施でき、騒音環境改善の基本的な対策です。
3. プログラムを調整してC値(MC値)をあげる。
❌ 誤り。C値は人工内耳の最大刺激電流値で、上げると不快感・痛覚が増強し、聴取品質は悪化します。騒音対策の手段ではなく、むしろ装用児の聴取環境と満足度を損なわせます。
4. 両耳の人工内耳を検討する。
✅ 正しい。両耳装用により両側聴取が可能になり、騒音環境での音源定位能力が向上し、信号音と騒音の分離能(コクテールパーティー効果)が改善されます。特に学齢期児には重要な選択肢です。
5. ノートテイクを利用する。
✅ 正しい。聴覚情報の補助手段として、授業内容の文字化により聴取困難を補完できます。人工内耳装用児が教室で確実に学習内容を取得するための支援策です。
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【試験対策ポイント】
人工内耳装用児の騒音環境対策フレームワーク
| 対策カテゴリ | 具体例 | 効果 |
|---|---|---|
| 環境調整(推奨) | 機器の防振・吸音パネル設置 | 背景騒音削減 |
| 補助聴覚システム(推奨) | デジタル無線FM・ロジャーペン | 信号音直接送信 |
| 補聴聴取能力向上(推奨) | 両耳装用・マップ再調整 | 両側聴取・音源定位 |
| 学習支援(補助) | ノートテイク・手話通訳 | 聴取困難時の補完 |
| C値調整(禁忌) | C値を上げる | 不快感増加・害をもたらす |
C値(MC値)に関する誤解ポイント
・C値=最大刺激電流値。上げても聴力改善なし
・T値との組み合わせで最適マップを形成する
・騒音対策の手段ではない
人工内耳装用児の教室支援の優先順位
1位:デジタル無線通信(直接送信で騒音回避)
2位:環境調整(背景騒音の物理的削減)
3位:両耳装用(聴取能力そのものを向上)
4位:ノートテイク(聴取失敗時の補完)