第22回 言語聴覚士国家試験 第118問
聴覚系第22回
正しいのはどれか。
- 1.キヌタ骨は鼓膜に接する。
- 2.蝸牛の中央階は鼓室階より電位が低い。
- 3.鼓室階と中央階の間には基底板がある。 ✓
- 4.平衡覚の受容器はコルチ器である。
- 5.蝸牛神経核は中脳にある。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 鼓室階と中央階の間には基底板がある。
蝸牛内部は3つの階(上行階・中央階・鼓室階)に分かれており、これらは異なる液体で満たされています。中央階と鼓室階の境界は基底板(バシラー膜)であり、この上にはコルチ器が位置します。基底板は周波数分析の最も重要な構造で、正しい解剖学的位置関係を理解することがST試験の頻出ポイントです。
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【各選択肢の解説】
1. キヌタ骨は鼓膜に接する。
❌ 誤り。キヌタ骨(砧骨)は耳小骨の中央に位置し、ハンマー骨(槌骨)と続く部分です。鼓膜に直接接するのはハンマー骨の先端部(柄)です。
2. 蝸牛の中央階は鼓室階より電位が低い。
❌ 誤り。蝸牛の中央階は正の電位(約+80mV)を持つのに対し、鼓室階と上行階は負の電位(約-70mV)です。むしろ中央階が高い電位を保有しており、この電位差が聴覚受容に重要です。
3. 鼓室階と中央階の間には基底板がある。
✅ 正しい。基底板(バシラー膜)は中央階と鼓室階を隔てる構造で、この上にコルチ器が乗っています。基底板の異なる部位は異なる周波数に最大応答するため、周波数分析の解剖学的基盤となります。
4. 平衡覚の受容器はコルチ器である。
❌ 誤り。コルチ器は聴覚の受容器です。平衡覚の受容器は内耳の半規管と耳石器官(卵形嚢・球形嚢)に存在する毛細胞です。機能が全く異なります。
5. 蝸牛神経核は中脳にある。
❌ 誤り。蝸牛神経核は延髄にあります。中脳には下丘など聴覚系の高次中枢がありますが、蝸牛神経核は脳幹最下部(延髄)の最初の中継核です。
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【試験対策ポイント】
耳小骨と蝸牛階の配置(紛らわしい部分の整理)
| 構造 | 部位・役割 | 誤りやすい点 |
|---|---|---|
| ハンマー骨 | 鼓膜に接する(最外側) | キヌタ骨と混同しやすい |
| キヌタ骨 | ハンマーとアブミの中間 | 鼓膜に接しない |
| アブミ骨 | 卵円窓に接する(最内側) | 最も内側であることを確認 |
蝸牛の3階と電位・液体の対応
| 階 | 液体 | 電位 | 隣接する膜 |
|---|---|---|---|
| 上行階 | リンパ液 | −70mV | 前庭膜(上境界) |
| 中央階 | 内リンパ液 | +80mV | 基底板(下境界)←正答の境界 |
| 鼓室階 | リンパ液 | −70mV | 基底板(上境界) |
聴覚系受容器と平衡感覚受容器の区別
- コルチ器:聴覚専門(蝸牛に限定)
- 毛細胞:半規管と耳石器官に存在(平衡感覚)
脳幹における聴覚中枢の配置
- 延髄:蝸牛神経核(第一次中継)
- 橋:上オリーブ複合体(両側神経の統合開始