STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第132問

生涯発達心理学第22回
Piaget,J.による脱中心化の説明として正しいのはどれか。 a.対象の永続性を理解できるようになる。 b.他者の立場で物事を考えられるようになる。 c.主観的印象ではなく客観的事実に基づいて判断できるようになる。 d.演繹的推論ができるようになる。 e.他者の情動が伝染するようになる。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 脱中心化(decentration)はPiagetの認知発達理論における具体的操作段階(7~11歳)の重要な認知能力で、「複数の視点や側面に同時に注目できるようになること」を意味します。自分中心的な見方から脱却し、複数の観点から対象を客観的に捉えられるようになる能力です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 対象の永続性を理解できるようになる。 ❌ 誤り。対象永続性(object permanence)の獲得は感覚運動段階(0~2歳)の成就であり、脱中心化とは別の認知能力です。脱中心化は既に対象永続性を有している段階で起きる現象です。 b. 他者の立場で物事を考えられるようになる。 ✅ 正しい。脱中心化により自分の視点だけでなく他者の視点も考慮できるようになります。これは視点取得(perspective-taking)能力の発達であり、脱中心化の典型例です。Piagetの三山課題で検証されました。 c. 主観的印象ではなく客観的事実に基づいて判断できるようになる。 ✅ 正しい。脱中心化は複数の側面に注目できるようになることで、表面的印象(例:容器の高さ)だけでなく他の側面(例:幅)も同時に考慮できるようになります。保存概念の理解(液体の保存課題など)がこれを実証します。 d. 演繹的推論ができるようになる。 ❌ 誤り。演繹的推論は形式的操作段階(12歳以上)で獲得される能力であり、具体的操作段階の脱中心化段階では該当しません。具体的操作段階では帰納的推論が主です。 e. 他者の情動が伝染するようになる。 ❌ 誤り。情動伝染は社会的・神経生物学的現象であり、Piagetの認知発達理論における脱中心化とは無関係です。むしろ脱中心化により他者の感情を客観的に認識・共感できるようになります。 --- 【試験対策ポイント】 Piagetの認知発達段階と主要な認知能力 | 発達段階 | 年齢 | 獲得される主要能力 | |---|---|---| | 感覚運動段階 | 0~2歳 | 対象永続性、感覚運動スキーム | | 前操作段階 | 2~7歳 | 象徴機能、言語能力(但し自己中心性が強い) | | 具体的操作段階 | 7~11歳 | 脱中心化、保存概念、可逆性、分類能力 | | 形式的操作段階 | 12歳以上 | 演繹的推論、仮説検証、抽象的思考 | 脱中心化の具体例 - 三山課題:複数の視点から山の見え方を予測する - 液体保存課題:容器の高さと幅を同時に考慮 - 質量保存課題:粘土を分割しても全体量は同じことを理解 - 分類課題:1つの対象が複数のカテゴリーに属することを理解 紛らわしい概念との区別 脱中心化 ← → 自己中心性(前操作段階) 客観的判断 ← → 主観的印象への依存 複数視点の同時考慮 ← → 単一視点への固着
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