第22回 言語聴覚士国家試験 第15問
臨床神経学第22回
78歳男性。1か月前に飲酒後、机の角で頭を打ったが放置していた。最近、頭痛と物忘れが出現して来院。頭部CTを示す。考えられる疾患はどれか。【別図あり】
- 1.脳出血
- 2.脳腫瘍
- 3.正常圧水頭症
- 4.急性硬膜下血腫
- 5.慢性硬膜下血腫 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 慢性硬膜下血腫
本症例は頭部外傷後1か月経過して頭痛・物忘れが出現しており、この時間経過と症状の組み合わせが慢性硬膜下血腫の典型的な臨床像です。高齢者は脳萎縮により硬膜と脳表の距離が広がるため、軽微な外傷でも硬膜下腔に出血が生じやすく、1~3週間で血腫が液化し、2~3週間以降に症状が出現することが特徴です。
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【各選択肢の解説】
1. 脳出血
❌ 誤り。脳出血は脳実質内への出血であり、通常は受傷直後~数日以内に急性症状(片麻痺・失語など)が出現します。本症例のように1か月の無症状期間を経て頭痛・物忘れが徐々に出現する経過には合致しません。
2. 脳腫瘍
❌ 誤り。脳腫瘍は明確な頭部外傷との時間的関連がなく、受傷との因果関係が説明できません。また本症例は外傷をきっかけに症状が出現しており、腫瘍よりも外傷性病態を考慮すべきです。
3. 正常圧水頭症
❌ 誤り。正常圧水頭症は頭痛・認知機能障害・歩行障害の三徴が特徴ですが、明確な外傷の時間的関連がなく、通常は頭部CTで脳室の拡大と脳表溝の萎縮が同時に見られます。本症例は頭部外傷が誘因として認識されており、診断根拠が異なります。
4. 急性硬膜下血腫
❌ 誤り。急性硬膜下血腫は頭部外傷直後~72時間以内に発症し、頭痛・意識障害・神経脱落症状を示します。本症例は受傷後1か月経過してから症状出現しており、時間経過が長すぎます。急性期には頭部CT上で高吸収域を示しますが、慢性化すると低吸収域~等吸収域に変化します。
5. 慢性硬膜下血腫
✅ 正しい。高齢男性が軽微な頭部外傷(酒席での事故)後、1か月の無症状期間を経て頭痛・物忘れが徐々に出現する経過は慢性硬膜下血腫の典型像です。頭部CTでは頭蓋骨直下に新月状の低吸収域(液化した血腫)が見られることが多いです。高齢者は脳萎縮により硬膜下腔が広く、凝固機能低下している場合も多いため罹患しやすい疾患です。
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【試験対策ポイント】
硬膜下血腫の3型比較表
| 項目 | 急性 | 亜急性 | 慢性 |
|---|---|---|---|
| 発症時期 | 0~3日 | 4~20日 | 21日以降 |
| 初期症状 | 意識障害・神経脱落症状 | 頭痛・意識障害 | 頭痛・物忘れ・認知機能低下 |
| 外傷の程度 | 高度(落車・転落など) | 中等度 | 軽微(転倒・机の角など) |
| リスク患者 | 若年~中年 | 中高齢 | 高齢者(脳萎縮) |
| CT所見 | 高吸収域(新鮮血) | 等吸収域 | 低吸収域(液化血) |
| 治療 | 開頭血腫除去術 | 穿頭血腫洗浄 | 保存的治療または穿