第22回 言語聴覚士国家試験 第155問
失語症第22回
失語症における発話の流暢性について正しいのはどれか。
a.文法的複雑さは重要な指標である。
b.1/10ぐらいの頻度で発せられる最も長い発話は重要な指標である。
c.標準失語症検査のプロフィールから診断できる。
d.伝導失語は非流暢性失語の一つである。
e.ボストン学派の失語分類において基本をなす概念の一つである。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,b,e
失語症の流暢性は「話す速さ・語の産生容易性・文法的複雑さ・最長発話の長さ」など複合的な指標で判定され、ボストン学派の失語分類(Broca失語vs Wernicke失語)の中核概念です。a・b・eが正しく、c・dは誤りです。
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【各選択肢の解説】
a. 文法的複雑さは重要な指標である。
✅ 正しい。流暢性の判定には「文法的構造の複雑さ・長さ・多様性」が含まれます。非流暢性失語(Broca失語)では文法的形態素(助詞・動詞活用)が脱落し、簡潔で文法的に単純になるため、これは重要な評価指標です。
b. 1/10ぐらいの頻度で発せられる最も長い発話は重要な指標である。
✅ 正しい。標準失語症検査(SLTA)では「最長連続発話数(MLU:mean length of utterance)」を測定します。最頻出の発話長ではなく「1/10程度の確率で発せられる最も長い発話(典型的には10発話中1番目に長いもの)」を指標とすることが標準的手法です。非流暢性失語では短く、流暢性失語では長くなります。
c. 標準失語症検査のプロフィールから診断できる。
❌ 誤り。標準失語症検査(SLTA)のプロフィールだけから流暢性を診断することはできません。流暢性は「自発会話の観察」「発話の容易性・速度・努力」など臨床的観察が本質的に重要です。SLTAは各項目の成績を示すだけで、流暢性の判定には総合的臨床評価が必要です。
d. 伝導失語は非流暢性失語の一つである。
❌ 誤り。伝導失語は「流暢性失語」に分類されます。発話は流暢(音韻的には無努力)ですが、復唱が著しく不良という特徴があります。ボストン学派では流暢性を基準に分類するため、復唱障害=非流暢ではありません。
e. ボストン学派の失語分類において基本をなす概念の一つである。
✅ 正しい。ボストン学派(Goodglass & Kaplan)の失語症分類は「流暢性」と「復唱・理解」の2軸を中核としています。Broca失語(非流暢)vs Wernicke失語(流暢)という分類の土台が流暢性であり、最も基本的な概念です。
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【試験対策ポイント】
流暢性の定義と評価指標:
- 定義:話す速度・容易性・努力度・文法的複雑さの総合評価
- 評価指標:①語速(100語/分以上は流暢)②努力度③文法性④MLU(最長発話長)
ボストン学派の失語分類(流暢性が軸):
| タイプ | 流暢性 | 復唱 | 理解 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Broca失語 | 非流暢 | 不良 | 良好 | 非努力的・文法的単純 |
| Wernicke失語 | 流暢 | 不良 | 不良 | 努力的でない・意味不明瞭 |
| 伝導失語 | **流暢** | **著しく不良** | 良好 | 音韻的には無努力 |
| 全失語 | 非流暢 | 不良 | 不良 | 最重度 |
c選択肢が誤る理由:
- SLTAのプロフィール=数値スコア(各課題の正答率)
- 流暢性=定性的