STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第156問

失語症第22回
単語の復唱障害の原因となる言語症状はどれか。 a.喚語障害 b.発語失行 c.音韻性錯語 d.語音認知障害 e.語義理解障害 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — b,c,d 単語の復唱障害(repetition disturbance)は、言語理解が保たれていても聴覚的に入力された言葉を正確に産出できない現象です。原因となるのは音韻処理・発話実行・音韻認知の段階における障害であり、意味理解の障害は直接的には関与しません。選択肢4の「b.発語失行、c.音韻性錯語、d.語音認知障害」がすべて復唱を阻害するメカニズムとなります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 喚語障害 ❌ 誤り。喚語障害は特定の単語を想起できない障害で、語彙へのアクセス不良です。しかし復唱では音韻形態が既に聴覚入力されているため、喚語障害そのものは復唱障害の主要原因ではありません。自発話では困難でも復唱では比較的保たれることが多いため、復唱障害の「原因」としては適切ではありません。 b. 発語失行 ✅ 正しい。発語失行は聴覚理解が保たれていても、音韻を運動プログラムに変換して実行する段階での障害です。復唱時に聴覚入力は正常でも、その音韻列を正確に構音するための運動指令がエラーするため、復唱が阻害されます。伝導失語で顕著に見られます。 c. 音韻性錯語 ✅ 正しい。音韻性錯語(例:「犬」→「ネコ」のような音韻的に類似した誤反応)は、音韻処理過程での障害を反映します。復唱時に入力された音韻をそのまま出力できず、音韻的に歪んだ出力が生じるため、復唱障害として現れます。 d. 語音認知障害 ✅ 正しい。語音認知障害(acoustic-phonetic processing障害)は、聴覚的に入力された言語音を音韻レベルで正確に識別・認識できない障害です。復唱では最初のステップが「聴覚入力を音韻に変換する」ことなので、この段階での障害があると復唱が成立しません。 e. 語義理解障害 ❌ 誤り。復唱は意味的な処理を必須としません。例えば無意味綴り(「ぶずべ」など)でも復唱は可能です。語義理解が損なわれていても、聴覚的形態処理と運動出力が保たれていれば復唱は成立するため、復唱障害の直接的原因ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 復唱と意味理解の独立性(重要) | 障害の種類 | 復唱 | 理解 | 典型的失語症 | |---|---|---|---| | 音韻・運動処理障害 | 不良 | 良好 | 伝導失語・発語失行 | | 意味理解障害 | 良好 | 不良 | Wernicke失語 | | 両者の障害 | 不良 | 不良 | 全失語 | 復唱障害の三大原因 1. 発語失行:運動プログラミングの障害 2. 音韻性錯語:音韻の選択・組み合わせエラー 3. 語音認知障害:入力段階での音韻認識エラー 「喚語障害では復唱は比較的保たれる」 …固有名詞(人名・地名)でも復唱は可能な理由。意味へのアクセスが不要だから。 「語義理解障害は復唱を阻害しない」 …無意味音列の復唱が可能なことで証明される。復唱は「音」の処理で完結。
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