第22回 言語聴覚士国家試験 第157問
失語症第22回
合併しにくい組み合わせはどれか。
a.ブローカ失語 ― 右片麻痺
b.超皮質性運動失語 ― 発動性低下
c.伝導失語 ― 相貌失認
d.ウェルニッケ失語 ― 着衣失行
e.全失語 ― 右側の体性感覚障害
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
伝導失語は左半球上中部領域の損傷で生じ、同じ部位の損傷では相貌失認(顔の認識障害=右半球の下側頭葉障害)が合併しにくい。ウェルニッケ失語は左上側頭葉の損傷で生じ、右側の頭頂葉損傷で生じる着衣失行とは脳局在が異なるため合併しにくい。したがってc,dが最も合併しにくい組み合わせである。
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【各選択肢の解説】
a. ブローカ失語 — 右片麻痺
✅ 合併しやすい。ブローカ失語は左下前頭葉の損傷で生じるが、この部位は一次運動野や錐体路にも近接しているため、右片麻痺を合併することが多い。
b. 超皮質性運動失語 — 発動性低下
✅ 合併しやすい。超皮質性運動失語は前頭前野の損傷で生じ、この領域は動機づけや意志的活動を制御する部位であるため、同時に発動性低下(無動性無言など)を合併しやすい。
c. 伝導失語 — 相貌失認
❌ 合併しにくい。伝導失語は左半球上中部の弓状束損傷で生じる言語固有の障害である。相貌失認は顔を認識できない視覚認知障害で、右半球下側頭葉の損傷で生じるため、脳局在が全く異なり合併しにくい。
d. ウェルニッケ失語 — 着衣失行
❌ 合併しにくい。ウェルニッケ失語は左上側頭葉の言語理解領域の損傷である。着衣失行は右側頭頂葉の損傷で生じる観念失行の一種であり、脳局在が異なるため合併しにくい。
e. 全失語 — 右側の体性感覚障害
✅ 合併しやすい。全失語は左中大脳動脈領域の広汎な損傷で生じるため、同じ部位の損傷で左頭頂葉も巻き込まれ、右側体性感覚障害を合併することが多い。
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【試験対策ポイント】
各失語症と脳損傷部位:
| 失語症タイプ | 主要損傷部位 | 合併しやすい症状 |
|---|---|---|
| ブローカ失語 | 左下前頭葉 | 右片麻痺、右片感覚障害 |
| ウェルニッケ失語 | 左上側頭葉 | 右視野欠損(多くない) |
| 伝導失語 | 左弓状束周辺 | 言語領域の限局損傷 |
| 超皮質性運動失語 | 左前頭前野 | 発動性低下、無動性無言 |
| 全失語 | 左MCA領域全体 | 右片麻痺、右感覚障害、右視野欠損 |
右半球病変で生じやすい症状:
| 症状 | 脳局在 |
|---|---|
| 相貌失認 | 右下側頭葉 |
| 着衣失行 | 右頭頂葉 |
| 視空間失認 | 右頭頂葉 |
| 半側空間無視 | 右頭頂葉 |
キーワード:「失語症は言語中枢の損傷、高次認知機能障害は側頭葉・頭頂葉の非言語領域」。脳の局在性を常に意識する。