第22回 言語聴覚士国家試験 第160問
失語症第22回
失語症の実用的コミュニケーション訓練はどれか。
- 1.PACE ✓
- 2.刺激法
- 3.遮断除去法
- 4.機能再編成法
- 5.認知心理学的アプローチ
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — PACE
PACEは「Promoting Aphasic Communicative Effectiveness」の略で、失語症者が実際の生活場面で機能的にコミュニケーションできることを目標とした訓練法です。セラピストと患者が対等なパートナーとしてやりとりし、正確性よりも「伝わること」を重視する実用的アプローチの代表例です。
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【各選択肢の解説】
1. PACE
✅ 正しい。PACEは「コミュニケーション効率の向上」を目的とした実用的訓練法です。セラピストが情報受信者、患者が情報提供者の役割を交互に担当し、意味伝達の成功を最優先とします。生活場面での実践的なやりとりを重視する特徴があります。
2. 刺激法
❌ 誤り。刺激法は言語能力そのものの回復を目指す「言語症状改善訓練」です。患者に対して言語刺激を与え、言語機能の獲得・改善をねらう機械的・構造的アプローチであり、実用的コミュニケーション訓練ではありません。
3. 遮断除去法
❌ 誤り。遮断除去法(あるいは阻止除去法)は、機能していない神経経路を遮断することで、機能できる代替経路を優位にさせる神経学的理論に基づく訓練法です。解剖学的・生理学的機序に焦点を当てた方法で、実用的コミュニケーション訓練ではありません。
4. 機能再編成法
❌ 誤り。機能再編成法は、脳損傷によって失われた機能を残存脳領域が代償する神経可塑性を促進する訓練法です。脳機能の回復メカニズムを活用する神経生理学的アプローチであり、実用的なコミュニケーション訓練とは異なります。
5. 認知心理学的アプローチ
❌ 誤り。認知心理学的アプローチは、失語症を言語処理の認知的メカニズムの障害としてとらえ、那基礎的認知過程(意味処理・音韻処理など)の改善をねらう訓練法です。理論的・学術的背景は異なり、実用的コミュニケーション訓練ではありません。
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【試験対策ポイント】
失語症訓練法の分類と特徴:
| 訓練法 | 焦点 | 目的 | 実用性 |
|---|---|---|---|
| PACE | コミュニケーション | 実生活での情報伝達成功 | ✅ 高い |
| 刺激法 | 言語症状 | 言語能力の回復 | 低い |
| 遮断除去法 | 神経経路 | 代替経路の優位化 | 低い |
| 機能再編成法 | 脳機能 | 神経可塑性の活用 | 低い |
| 認知心理学的アプローチ | 認知処理 | 基礎認知過程の改善 | 低い |
キーワード:
・PACE=対等なパートナーシップ、意味伝達重視、情報交換の実践
・実用的訓練=生活場面への転移、正確性より機能性
・対照的に、刺激法や機能再編成法は「言語能力の底上げ」を目指す基礎的訓練である