第22回 言語聴覚士国家試験 第162問
高次脳機能障害第22回
街並失認について誤っているのはどれか。
- 1.右大脳半球損傷例が多い。
- 2.病巣に海馬傍回が含まれることが多い。
- 3.家を見れば、それが家であることがわかる。
- 4.相貌失認を合併することが多い。
- 5.風景や建物の場所の記憶が消失する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 風景や建物の場所の記憶が消失する。
街並失認は「視覚的・空間的な環境の認識障害」であり、記憶消失(健忘)ではありません。患者は風景や建物の「位置関係や道順」を認識できなくなりますが、それらの「記憶」そのものが消失するわけではなく、現在見ている景色を「自分がどこにいるのか」と関連付けることができなくなるのです。つまり認識障害と記憶障害は別物です。
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【各選択肢の解説】
1. 右大脳半球損傷例が多い。
✅ 正しい。街並失認は右大脳半球(特に後頭頭頂葉)の損傷による場合が多いです。空間的・視覚的情報処理は右半球優位だからです。
2. 病巣に海馬傍回が含まれることが多い。
✅ 正しい。海馬傍回(視覚的認識と空間処理を統合する領域)の損傷がしばしば街並失認を引き起こします。これは環境内での方向感覚に必須の部位です。
3. 家を見れば、それが家であることがわかる。
✅ 正しい。街並失認でも「個別対象物の認識」は保たれます。患者は家を見て「これは家だ」と理解できますが、「今自分がどこの街にいて、その家がどこにあるのか」という環境内での位置づけができないのです。これが「相貌失認」との違いを理解するポイントです。
4. 相貌失認を合併することが多い。
✅ 正しい。右下側頭葉損傷は相貌失認の責任病巣ですが、海馬傍回など右後頭頭頂葉の広範囲な損傷では、街並失認と相貌失認が同時に出現することが多いです。
5. 風景や建物の場所の記憶が消失する。
❌ 誤り。これは街並失認の本質を誤解させる選択肢です。記憶そのものが消失するのではなく、「現在見ている景色が脳内地図のどこに位置するか」という空間的認識が障害されるのです。記憶は保持されているが「利用できない」状態と考えるべきです。
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【試験対策ポイント】
街並失認と健忘の区別(最重要)
| 街並失認 | 健忘症 |
|---|---|
| 認識障害(見てもわからない) | 記憶障害(覚えていない) |
| 右後頭頭頂葉損傷 | 海馬・視床損傷 |
| 「ここはどこか」がわからない | 「昨日何があったか」など記憶がない |
| 空間的・視覚的情報処理の障害 | 記憶への固着の障害 |
街並失認の臨床像:
- 「個別対象認識」は保たれる(家は家、人は人とわかる)
- 「環境内での位置づけ」ができない(その風景がどこにあるかわからない)
- 右大脳半球(特に後頭頭頂葉・海馬傍回)損傷が責任病巣
- 相貌失認・色彩失認などを合併しやすい
頻出ポイント:
- 「記憶が消失」=誤り。認識(見て理解する過程)が障害される
- 選択肢5が誤りである理由は「記憶」という言葉の使用にあり