第22回 言語聴覚士国家試験 第163問
高次脳機能障害第22回
高次脳機能障害のリハビリテーションについて正しいのはどれか。
a.評価はまずWAIS-IIIから始める。
b.前頭葉機能の評価にはWAIS-IIIは感度が低い。
c.評価結果を本人・家族に伝える際は、得意なところや強みも伝える。
d.障害に対する認識や心理状態についても支持的な面接の中で聞き取っていく。
e.高次脳機能障害者の家族への支援は集団では行わない。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — b,c,d
高次脳機能障害のリハビリテーションは、包括的で個別化された評価と、本人・家族への丁寧なフィードバックが基本です。正答のb,c,dはいずれも現代的で有効なアプローチを示しており、a,eは実践と乖離した誤った方針です。
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【各選択肢の解説】
a. 評価はまずWAIS-IIIから始める。
❌ 誤り。高次脳機能障害の評価は、まず「病歴聴取・臨床観察」から始めるべきです。WAIS-IIIは一般的知能検査であり、全例の初期評価として最適ではありません。むしろ前頭葉機能やMMS、FAB(前頭葉機能検査)など、症状に応じた検査を選択的に行います。
b. 前頭葉機能の評価にはWAIS-IIIは感度が低い。
✅ 正しい。WAIS-IIIは一般的認知機能(言語・動作IQ)を測定する検査であり、前頭葉機能(実行機能・抑制・計画性・認知柔軟性)の評価には「感度が低い」とされています。前頭葉機能評価はFAB、Wisconsin Card Sorting Test、Trail Making Testなど特異的な検査が必要です。
c. 評価結果を本人・家族に伝える際は、得意なところや強みも伝える。
✅ 正しい。高次脳機能障害のリハビリテーションでは、「バイオサイコソーシャルモデル」に基づき、障害だけでなく残存能力・強み・活動能力を組み入れたICFアプローチが標準です。本人・家族の主体的な取組と希望を引き出すためにも、強みの提示は不可欠です。
d. 障害に対する認識や心理状態についても支持的な面接の中で聞き取っていく。
✅ 正しい。高次脳機能障害は「見えない障害」であり、本人が障害を認識できない場合も多いです。支持的かつ非指示的な面接により、病識の形成、不安・抑うつ・怒りなどの心理状態を把握し、心理社会的リハビリテーションへつなぐことが重要です。
e. 高次脳機能障害者の家族への支援は集団では行わない。
❌ 誤り。家族支援は「個別対応」と「集団支援」の両方が効果的です。集団支援では、同じ状況にある他の家族との交流、情報共有、心理的サポートが得られます。家族会やサポートグループは標準的な支援形式です。
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【試験対策ポイント】
高次脳機能障害の評価・リハビリテーションの基本方針
| 項目 | 正しいアプローチ | 誤ったアプローチ |
|---|---|---|
| 検査の開始 | 病歴聴取→臨床観察→症状に応じた特異的検査 | WAIS-III等の一般的検査から機械的に開始 |
| 前頭葉機能評価 | FAB、WCST、TMT等特異的検査を使用 | WAIS-III単独では不十分(感度が低い) |
| 結果説明 | 障害+残存能力+強みをバランスよく提示 | 障害のみを強調 |
| 心理面接 | 支持的で非指示的な傾聴(病識形成・心理状態把握) | 単なる検査結果の開示のみ |
| 家族支援 | 個別対応+集団支援(サポートグループ) | 家族支援は個別のみ |
高次脳機能障害リハビリテーションのキーワード
- ICFアプローチ(活