第22回 言語聴覚士国家試験 第172問
言語発達障害学第22回
注意欠如・多動性障害児への対応として適切でないのはどれか。
- 1.注意喚起してから指示を与える。
- 2.セッションを短時間で達成できる複数の課題や活動で構成する。
- 3.子供が取り組みやすい目標を設定する。
- 4.人の話を聞くときに手足を動かしていたら、その都度注意する。 ✓
- 5.注意は短く具体的にポイントを絞って与える。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 人の話を聞くときに手足を動かしていたら、その都度注意する。
ADHD児への対応では「その都度注意する」という頻繁な注意指導は、むしろ対立反抗性行動障害へのシフトや自己肯定感低下を招くため逆効果です。ADHD児には肯定的で建設的な対応(できたことへの褒賞、運動の機会提供、構造化された環境設定)が推奨されており、多動症状そのものへの頻繁な否定的フィードバックは避けるべきです。
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【各選択肢の解説】
1. 注意喚起してから指示を与える。
✅ 正しい。ADHD児は無視症状(distractibility)が顕著なため、あらかじめ「聞いてね」と注意喚起してから指示を与えることで、指示の理解度が向上します。これは基本的な構造化支援です。
2. セッションを短時間で達成できる複数の課題や活動で構成する。
✅ 正しい。ADHD児は注意保持が困難で退屈しやすいため、短時間で達成感が得られる課題を複数提示することで、動機づけを維持し、注意散漫を予防できます。
3. 子供が取り組みやすい目標を設定する。
✅ 正しい。難易度が高すぎるとADHD児は不適応行動を起こしやすくなります。成功体験を積ませることは自己効力感を高め、セッション参加意欲につながる重要な戦略です。
4. 人の話を聞くときに手足を動かしていたら、その都度注意する。
❌ 誤り。ADHD児への「その都度の否定的注意」は、注意喚起ばかりが増加して治療関係を損ない、行動問題の悪化(対立反抗化)につながる危険があります。むしろ「動きながらでも話を聞く」環境設定(スタンディング許可、フィジェット玩具の提供)や、良好な聴取時の褒賞が適切です。
5. 注意は短く具体的にポイントを絞って与える。
✅ 正しい。ADHD児の作業記憶容量は低下しているため、長くて曖昧な注意指導は処理できません。「××しましょう」と短く具体的に指示することで理解度が上がります。
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【試験対策ポイント】
| ADHD児への対応 | 適切 | 不適切 |
|---|---|---|
| 注意喚起 | 指示前に「聞いてね」と前置き | 行動中に「○○するな」と繰り返し指摘 |
| 環境設定 | 短時間課題・構造化・視覚的手がかり | 長時間課題・曖昧な指示 |
| 動作対応 | 多動の機会提供・許容・褒賞 | 多動症状への頻繁な否定的指摘 |
| 指示様式 | 短く・具体的・ポイント絞定 | 長く・抽象的・複数ポイント |
| セッション構成 | 達成感が得られる複数課題 | 単一の長時間課題 |
重要:「その都度注意する」=「行動随伴的な否定的フィードバック」は、ADHD児の治療抵抗性と対立反抗性行動障害の発症リスクを高めます。ST実践では「ポジティブな行動支援」「できたことへの強化」が黄金律です。