第22回 言語聴覚士国家試験 第175問
音声障害第22回
音声治療としてプッシング法が有用な疾患はどれか。
- 1.声帯結節
- 2.喉頭肉芽腫
- 3.声帯ポリープ
- 4.一側性声帯麻痺 ✓
- 5.痙攣性発声障害
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 一側性声帯麻痺
プッシング法は声帯の正中化を促進する技法です。一側性声帯麻痺では麻痺側声帯が傍正中位に固定されているため、プッシング法による腹圧上昇で健側声帯が麻痺側声帯に接触しやすくなり、音声改善が期待できます。他の疾患は器質的問題が主体であり、音声治療よりも医学的治療が優先されます。
---
【各選択肢の解説】
1. 声帯結節
❌ 誤り。声帯結節は反復的な音声濫用による器質的病変であり、音声治療により改善します。しかしプッシング法は適応ではなく、音声衛生指導・音声休止・呼気流率制御などが主体です。プッシング法は麻痺に対する手技であり、結節には無効です。
2. 喉頭肉芽腫
❌ 誤り。喉頭肉芽腫は気管挿管や過度な音声濫用による器質的病変です。プッシング法では解決できず、原因除去(挿管中止、音声濫用改善)と場合によっては医学的治療が必要です。
3. 声帯ポリープ
❌ 誤り。声帯ポリープは器質的腫瘤であり、医学的治療(手術)が主体です。プッシング法は構造的問題を解決できないため、治療手段として不適切です。
4. 一側性声帯麻痺
✅ 正しい。麻痺側声帯は傍正中位に固定され、呼気流が漏出します。プッシング法で腹圧を上昇させると、健側声帯の振動が強まり、麻痺側声帯との接触が促進され、音声改善が得られます。声帯の生理的位置補正が可能な唯一の疾患です。
5. 痙攣性発声障害
❌ 誤り。痙攣性発声障害は声帯の異常な筋緊張が原因であり、プッシング法で腹圧を上昇させるとむしろ痙攣が増悪する可能性があります。音声呼吸訓練やボツリヌス毒素注射が主体です。
---
【試験対策ポイント】
プッシング法の適応と非適応
| 適応 | 非適応 |
|---|---|
| **一側性声帯麻痺** | 声帯結節・ポリープ(器質的) |
| 麻痺側声帯の正中化が目的 | 喉頭肉芽腫(器質的) |
| 健側声帯との接触促進 | 痙攣性発声障害(増悪のリスク) |
声帯麻痺での音声治療法
- プッシング法:腹圧上昇→健側との接触促進
- 発声開始前の準備運動:咳払い、hard glottal attack
- 呼気流率制御:効率的音声振動
- 必要に応じて医学的治療(ステロイド注射、手術)併用
麻痺の音響特性
- 気息性嗄声(hoarse voice)
- 気流漏出→音圧低下
- 周波数分析:高周波成分の減少
キーワード:プッシング法=麻痺に対する代償的手技。構造的病変には無効