STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第176問

音声障害第22回
喉頭摘出者が行う発声で呼気を用いるのはどれか。 a.喉頭発声 b.食道発声 c.笛式人工喉頭 d.シャント発声 e.電気式人工喉頭 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d 喉頭摘出者の発声方法のうち、**呼気を用いる**ものは「笛式人工喉頭」と「シャント発声」です。これら2つは体外から呼気エネルギーを利用する点が共通しており、食道発声や電気式人工喉頭とは異なるメカニズムです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 喉頭発声 ❌ 誤り。喉頭摘出者は喉頭がないため、喉頭発声は物理的に不可能です。喉頭発声は喉頭がある健常者の通常の発声方法を指します。 b. 食道発声 ❌ 誤り。食道に貯蔵した空気を食道から咽頭へ逆流させることで音源を作る方法であり、**肺からの呼気を用いません**。この点が他の方法と大きく異なります。 c. 笛式人工喉頭 ✅ 正しい。**呼気を用いる**代償発声法です。喉頭摘出者が口から吸い込んだ呼気をチューブを通して口腔内へ送り、チューブ先端の振動板で音を発生させます。その音を調音器官(唇・舌・歯)で調音して言語化します。 d. シャント発声 ✅ 正しい。**呼気を用いる**代償発声法です。食道と気管をシャント(小孔)でつなぎ、肺からの呼気を食道へ流入させて音源を作ります。食道発声では患者自身が空気を貯蔵する努力が必要ですが、シャント発声は肺からの呼気が自動的に流入するため習得が比較的容易です。 e. 電気式人工喉頭 ❌ 誤り。電気エネルギーで振動板を駆動させて音を発生させる方法です。**呼気を必要とせず**、単に電源があれば発声可能です。構音のためには呼気が関係しますが、音源生成には呼気を用いません。 --- 【試験対策ポイント】 喉頭摘出者の発声方法の分類 | 発声方法 | 音源 | 呼気利用 | 習得難度 | 音質 | |---|---|---|---|---| | 食道発声 | 食道内空気の逆流 | 不使用 | 高(難) | やや低い | | シャント発声 | 肺からの呼気 | **使用** | 中程度 | 良好 | | 笛式人工喉頭 | 機械の振動板 | **使用** | 低(易) | 機械的 | | 電気式人工喉頭 | 電気振動 | 不使用 | 低(易) | 機械的 | 重要な区別ポイント **呼気を用いる** → c(笛式人工喉頭)、d(シャント発声) **呼気を用いない** → b(食道発声)、e(電気式人工喉頭) シャント発声が「呼気を用いる」理由:肺の呼気が重力と圧力差により食道へ自動流入し、その流入空気で音を発生させるため、本質的には呼気利用です。 食道発声が「呼気を用いない」理由:患者が意識的に食道内に空気を貯蔵し(呼気の流入ではなく任意の蓄積)、その貯蔵空気を逆流させるため、肺の呼気システムとは独立しています。
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