第22回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第22回
嚥下障害に対する手術のうち術後に発声ができなくなるのはどれか。
- 1.喉頭挙上術
- 2.咽頭弁形成術
- 3.喉頭気管分離術 ✓
- 4.甲状軟骨形成術
- 5.輪状咽頭筋切断術
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 喉頭気管分離術
喉頭気管分離術は気管を食道に吻合し、喉頭を気管から完全に分離する手術です。喉頭への気流が遮断されるため、術後は音声源となる気流が喉頭に到達しなくなり、発声ができなくなります。これは誤嚥防止という目的を最優先とした、機能的犠牲が大きい手術です。
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【各選択肢の解説】
1. 喉頭挙上術
✅ 正しい選択肢の一つ。喉頭を上方に牽引し、嚥下時の喉頭挙上を補助する手術です。喉頭の位置変化のみで、声帯の動きや気流経路は温存されるため、発声能力は保たれます。
2. 咽頭弁形成術
✅ 正しい選択肢の一つ。咽頭側壁の粘膜筋層を弁状に形成し、咽頭と喉頭の間隙を狭くする手術です。声帯への気流は維持されるため、発声機能は温存されます。
3. 喉頭気管分離術
❌ 誤り。気管を食道に吻合させ、喉頭を呼吸経路から完全に遮断する手術です。喉頭に気流が供給されなくなるため、音声源となる振動が生じず、術後は発声ができなくなります。最も根本的な誤嚥防止手術ですが、音声機能の喪失が不可逆的です。
4. 甲状軟骨形成術
✅ 正しい選択肢の一つ。甲状軟骨を前方に移動させて声帯張力を調整する手術です。声帯への気流は維持され、発声メカニズムは機能し続けます。
5. 輪状咽頭筋切断術(CRYPP:Cricopharyngeal myotomy)
✅ 正しい選択肢の一つ。輪状咽頭筋の緊張を低下させ、咽頭上括約筋(UES)の狭窄を改善する手術です。食塊通過を容易にしますが、喉頭・声帯機能には影響を与えないため、発声は可能です。
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【試験対策ポイント】
誤嚥防止術の分類と発声への影響
| 手術名 | 目的 | 発声機能 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 喉頭挙上術 | 喉頭挙上補助 | 保持 | 位置的変化のみ |
| 咽頭弁形成術 | 咽頭喉頭間隙の狭小化 | 保持 | 側壁からの弁形成 |
| 甲状軟骨形成術 | 声帯張力調整 | 保持 | 気流経路は温存 |
| 輪状咽頭筋切断術 | UES通過性改善 | 保持 | 下咽頭部の操作 |
| 喉頭気管分離術 | 完全な誤嚥防止 | 喪失 | 気流遮断=発声不可 |
重要な概念
- 喉頭気管分離術=音声源への気流供給を遮断→発声不可(唯一の正答)
- それ以外の術式=喉頭・声帯への気流経路は維持→発声可能
- 本問は「発声ができなくなる=気流が喉頭に到達しない手術」という識別が鍵
- 喉頭気管分離術は最後の手段で、人工喉頭などの代替音声手段が必須