STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第188問

吃音第22回
学童期の吃音児への対応で正しいのはどれか。 a.吃音について家族で話す。 b.学校での音読については本人の希望を聞く。 c.吃っても心配そうな顔をしない。 d.ことばが出ない時は代わりに言ってあげる。。 e.ことばを繰り返した時は言い直しをさせる。。 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b,c 学童期の吃音児への対応は、吃音症状そのものへの直接的な指導よりも、本人の心理的安定と吃音への向き合い方を支援することが重要です。正答の3つ(a,b,c)は全て、吃音児が安心して言語活動に参加でき、吃音を症状として意識させない環境づくりを目的としています。 --- 【各選択肢の解説】 a. 吃音について家族で話す。 ✅ 正しい。学童期は吃音を自覚し始める時期であり、家族が吃音という現象を認識し、「話せないことは悪いことではない」「焦らず聞きましょう」といった前向きなメッセージを共有することで、本人の心理的負担を軽減します。隠すのではなく開かれた対話が重要です。 b. 学校での音読については本人の希望を聞く。 ✅ 正しい。公的な音読場面は吃音児にとって極度のストレスになります。本人の希望を聞いて無理強いをしないことで、学習への拒否感や二次的心理障害(回避行動・対人不安)の発展を防ぎます。強制は悪化要因になります。 c. 吃っても心配そうな顔をしない。 ✅ 正しい。親や教師の不安・心配な表情は、吃音児に「自分の話し方は問題である」というメッセージを与え、緊張と自意識を増強させます。落ち着いた聞き手の姿勢が吃音症状そのものの悪化を防ぎます。 d. ことばが出ない時は代わりに言ってあげる。 ❌ 誤り。代わりに言うことは、本人の発話機会を奪い、「自分では話せない」という不全感を深め、吃音症状の悪化と回避行動につながります。たとえ時間がかかっても本人の発話を待つ姿勢が必須です。 e. ことばを繰り返した時は言い直しをさせる。 ❌ 誤り。吃音症状(反復・延長など)に対する直接的な指摘や言い直し強要は、症状を顕在化させ、本人の自意識と緊張を急速に高めます。むしろ症状を「なかったこと」にする無視的対応が基本です。 --- 【試験対策ポイント】 学童期吃音児への対応の基本原則 | 対応 | 根拠 | 効果 | |---|---|---| | 吃音を家族で認識・話す | 秘密にしない、開かれた対話 | 本人の心理的負担軽減 | | 本人の希望尊重(音読など) | 強制は最大のストレス源 | 二次障害予防 | | 落ち着いた聞き手姿勢 | 親の不安表情=症状悪化信号 | 緊張軽減、自然な発話環境 | すべきでない対応 | 対応 | 理由 | |---|---| | 代わりに言う | 発話機会奪失、不全感強化 | | 言い直しさせる | 症状の顕在化、自意識↑、緊張↑ | | 症状への直接指摘 | 吃音恐怖の形成、回避行動促進 | キーワード:学童期は「吃音の自覚と社会的場面への不安が同時進行」する臨界期。本人の心理的支援(症状への直接指摘回避)が、成人の重篤な吃音恐怖や対人回避の形成を防ぐ最大の予防因子。
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