第22回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第22回
成人ので人工内耳で正しいのはどれか。
- 1.平均聴力が70dBでも適応になる場合がある。 ✓
- 2.送信コイルは受信機にケーブルで接続する。
- 3.プログラミングでハウリングを防止する。
- 4.電極で蝸牛有毛細胞を刺激する。
- 5.EAS(残存聴力活用型人工内耳)は音刺激で高音域の音情報を入力する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 平均聴力が70dBでも適応になる場合がある。
成人の人工内耳の適応基準は「平均聴力が90dB以上」が原則ですが、補聴器を充分な期間(3ヶ月以上が目安)装用しても音声言語の理解が十分でない場合には、70dB程度でも適応の対象になります。これは個別評価による適応拡大を認めるものです。
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【各選択肢の解説】
1. 平均聴力が70dBでも適応になる場合がある。
✅ 正しい。人工内耳の標準的な適応基準は「平均聴力90dB以上」ですが、補聴器の最大限利用後でも不十分な場合は、適応基準が緩和され、70dB程度の聴力でも対象となることがあります。
2. 送信コイルは受信機にケーブルで接続する。
❌ 誤り。送信コイルは受信機に磁力(磁場結合)で接続されており、ケーブルでは接続されていません。体外の送信装置から体内の受信機へ非接触で電力・信号を伝送します。
3. プログラミングでハウリングを防止する。
❌ 誤り。人工内耳はインプラント型装置のため、従来の補聴器のようなハウリングは発生しません。プログラミングの目的は「電気刺激による聴覚情報の最適化」であり、ハウリング防止ではありません。
4. 電極で蝸牛有毛細胞を刺激する。
❌ 誤り。人工内耳の電極は蝸牛内に留置され、感音難聴による有毛細胞の機能喪失時に使用されます。電極は「有毛細胞の代替として」蝸牛神経を直接電気刺激するため、有毛細胞を刺激するのではなく、有毛細胞を「バイパス」します。
5. EAS(残存聴力活用型人工内耳)は音刺激で高音域の音情報を入力する。
❌ 誤り。EASは「残存聴力がある低音域は補聴器で、失聴している高音域は人工内耳で補う」ハイブリッド方式です。選択肢は逆で、低音域を補聴器、高音域を人工内耳(電気刺激)で補います。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の適応基準と構成要素の整理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適応基準(成人) | 平均聴力90dB以上、補聴器3ヶ月以上装用後も不十分 |
| 適応拡大 | 平均聴力70dB程度でも個別評価で対象可 |
| 送信方式 | 磁場結合(非接触) |
| 電極の役割 | 蝸牛神経の直接電気刺激(有毛細胞機能喪失の代替) |
| ハウリング | インプラント型のため発生しない |
| EASの特徴 | 低音:補聴器 → 高音:人工内耳(両者の棲み分け) |
頻出の紛らわしい知識:
- 適応基準「70dB」と「90dB」の区別(適応拡大で前者が含まれる)
- 有毛細胞「刺激」か「バイパス」か(後者が正解)
- EASで「何を電気刺激するか」「何を補聴器で補うか」の周波数帯域の逆転ミス