STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第26問

学習心理学第22回
技能学習における転移はどれか。 a.事前に学習したことによってその後の学習が抑制される。 b.結果の知識を得たことによって学習が効率よく進行する。 c.部分的な技能が一連の動作にまとめあげられる。 d.指導者の見本動作を観察したことによって遂行の誤りが減少する。 e.一方の手で学習した技能が他方の手の学習に影響する。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a, e 技能学習における転移とは、ある学習課題での学習経験が、別の学習課題の習得に影響を与える現象です。a(負の転移:既習内容が後続学習を阻害)とe(正の転移:一方の手の学習が他方の手に促進的に作用)が転移の定義に合致します。 --- 【各選択肢の解説】 a. 事前に学習したことによってその後の学習が抑制される。 ✅ 正しい。これは「負の転移」であり、転移の一形態です。例:母語が干渉して外国語の習得が困難になる場合。技能学習でも既習パターンが新たな課題遂行を妨げることがあります。転移には正(促進)と負(抑制)の両方が存在します。 b. 結果の知識を得たことによって学習が効率よく進行する。 ❌ 誤り。これは「KR(結果の知識:Knowledge of Results)」と呼ばれるフィードバック効果であり、転移ではなく学習そのものの効率化です。転移は「異なる課題間の影響」であり、同一課題内での改善は含まれません。 c. 部分的な技能が一連の動作にまとめあげられる。 ❌ 誤り。これは「統合(integration)」または「段階的習熟」と呼ばれる技能学習の段階的進展です。転移ではなく、学習過程内での技能の構造化を指しています。 d. 指導者の見本動作を観察したことによって遂行の誤りが減少する。 ❌ 誤り。これは「観察学習」または「モデリング」による直接的な学習効果です。見本観察による学習そのものであり、別の課題への転移ではありません。 e. 一方の手で学習した技能が他方の手の学習に影響する。 ✅ 正しい。これは典型的な「両側性転移」(cross-transfer)であり、正の転移の例です。左手の技能習得が右手の学習を促進する現象。異なる課題(左右の手)間での学習転移そのものです。 --- 【試験対策ポイント】 転移(Transfer)の定義と識別 | 概念 | 定義 | 選択肢との対応 | |---|---|---| | 転移 | ある学習課題の経験が別の課題に影響する | a, e ✅ | | 正の転移 | 先行学習が後続学習を促進 | e | | 負の転移 | 先行学習が後続学習を抑制 | a | | フィードバック(KR) | 結果の知識による同一課題内での改善 | b ❌ | | 統合 | 部分技能が一連動作に組織化される過程 | c ❌ | | 観察学習 | モデル観察による直接的な習得 | d ❌ | 頻出の紛らわしい概念: - 「学習の効率化」≠「転移」(同一課題内の改善はb) - 「技能の統合」≠「転移」(学習段階内の進展はc) - 「モデリング」≠「転移」(観察から直接学ぶのはd) 両側性転移は技能学習で最頻出の転移例:非言語的技能(スポーツ・楽器演奏など)で顕著に生じます。
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