STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第55問

失語症第22回
失語症の原因として間違っているのはどれか。 a.脳 炎 b.てんかん c.発達障害 d.心的外傷 e.脳腫瘍 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c,d 失語症は大脳言語野の器質的(構造的)損傷によって生じる言語障害です。脳炎・てんかん・脳腫瘍は脳組織の直接的な損傷や機能障害をもたらすため失語症の原因となりますが、発達障害と心的外傷は器質的脳損傷を伴わないため失語症の原因ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 a. 脳炎 ✅ 正しい。脳の炎症により言語野を含む脳組織が損傷され、失語症の原因となります。ウイルス性脳炎や細菌性脳炎など各種脳炎が該当します。 b. てんかん ✅ 正しい。てんかん患者の脳には基礎疾患(脳腫瘍・外傷後瘢痕・皮質異形成など)が存在することが多く、これらの器質的損傷により失語症が生じます。てんかん発作そのものは一過性ですが、その背景にある脳病変が失語症の原因となります。 c. 発達障害 ❌ 誤り。発達障害(ADHD・自閉スペクトラム障害など)は脳の神経発達の問題であり、言語野の器質的損傷を伴いません。言語発達の遅滞は生じますが、これは失語症(獲得後の言語喪失)ではなく言語発達障害です。失語症と言語発達障害は本質的に異なります。 d. 心的外傷 ❌ 誤り。心的外傷(PTSD・トラウマ)は心理的・精神的な影響をもたらしますが、脳の器質的損傷を伴いません。心因性音声障害など心理的要因による障害は生じる可能性がありますが、これは失語症ではなく機能的障害です。 e. 脳腫瘍 ✅ 正しい。脳腫瘍による言語野の圧迫・侵食・浮腫により、失語症が生じます。腫瘍摘出手術によって言語野が損傷される場合もあります。 --- 【試験対策ポイント】 失語症の本質的定義 | 項目 | 失語症 | 言語発達障害 | 機能的障害 | |---|---|---|---| | 原因 | 大脳言語野の器質的損傷 | 脳の神経発達異常 | 器質的損傷なし | | 発症 | 獲得後(通常成人) | 発達期 | 心理的要因 | | 該当する原因 | 脳卒中・脳炎・外傷・腫瘍 | 発達障害・LD | 心的外傷・心因性障害 | 失語症の器質的原因(5つの重要カテゴリ) 1. 脳血管障害(脳卒中):最多原因 2. 脳外傷 3. 脳腫瘍 4. 脳炎・脳膿瘍 5. てんかん(基礎疾患としての脳病変) 頻出陷阱 「てんかんは失語症の原因ではない」と誤認しやすいが、てんかん患者の背景にある脳病変(腫瘍・外傷痕など)が失語症を引き起こす。発作そのものではなく、その基礎疾患が重要。
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