第22回 言語聴覚士国家試験 第56問
失語症第22回
失語症について正しいのはどれか。
- 1.単語の意味理解障害があると統語理解障害を生じる。
- 2.漢字単語が正しく音読できたら正しく読解ができたと判断できる。
- 3.仮名1文字の音読ができない症例では仮名単語の音読はできない。
- 4.音韻性錯語が頻発する症例では呼称における語頭音ヒントの有効性は低い。 ✓
- 5.聴覚提示された6文節文が理解できない場合は聴覚的把持力が低下している。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 音韻性錯語が頻発する症例では呼称における語頭音ヒントの有効性は低い。
音韻性錯語は音韻体系へのアクセスまたは音韻貯蔵の障害で、対象概念は理解していても音韻出力ができないもの。このような症例では意味的ヒント(カテゴリー)や文字ヒントは有効ですが、語頭音ヒントは音韻処理レベルの支援となるため効果が低い。一方、聴覚的強化や意味関連語による迂回的アプローチが有効。
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【各選択肢の解説】
1. 単語の意味理解障害があると統語理解障害を生じる。
❌ 誤り。意味理解障害と統語理解障害は独立して障害される。Wernicke失語では意味理解不良でも統語理解は相対的に保持され、逆に超皮質性感覚失語では復唱は良好でも意味理解が不良であり、統語理解とは解離する。必ずしも並行していない。
2. 漢字単語が正しく音読できたら正しく読解ができたと判断できる。
❌ 誤り。音読できても読解が伴わない「音読文字症」があり、特に観念失読を伴う症例では顕著。言語処理のカスケード過程で音韻出力経路と意味理解は解離可能。音読能力だけから読解能力は判断できない。
3. 仮名1文字の音読ができない症例では仮名単語の音読はできない。
❌ 誤り。モーラレベルの障害が必ずしも単語レベルに波及しない。文字種による障害パターンが異なり(漢字は保持、仮名は障害など)、処理レベルの違いにより解離が生じる。特に音韻文字体系では単語全体のプロトタイプ化が働く可能性もある。
4. 音韻性錯語が頻発する症例では呼称における語頭音ヒントの有効性は低い。
✅ 正しい。音韻性錯語は音韻貯蔵・音韻計画の障害で、語頭音(音韻情報)ヒント自体が処理できない領域への支援となる。意味ヒント(「飲み物で、赤い」など)が有効な理由と対照的。
5. 聴覚提示された6文節文が理解できない場合は聴覚的把持力が低下している。
❌ 誤り。6文節文理解不全の原因は複数あり:統語複雑性(埋め込み構造など)、意味理解不良(Wernicke型)、短期記憶容量低下(失語症言語帯域の狭化)、統語構造の処理障害など。聴覚的把持力低下は一原因に過ぎず、これだけで原因判定できない。
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【試験対策ポイント】
失語症の評価における「解離」は頻出概念。以下3つの独立性を意識する:
| 処理段階 | 障害パターン例 | 臨床的意義 |
|---|---|---|
| 意味理解 | 統語理解と独立して障害 | 音読不良=読解不良ではない |
| 音韻出力 | 音韻性錯語は意味は保持 | 語頭音ヒント無効 |
| 聴覚処理 | 復唱良好でも理解不良 | 伝導失語と超皮質性感覚失語 |
キーワード:
- 音韻性錯語:意味OK、音韻NG → 意味ヒント・文字ヒント有効 / 音韻ヒント無効
- 聴覚把持力:主に容量の問題(短期記憶)
- 文字音読と読解