STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第58問

失語症第22回
音韻性錯語が少ないのはどれか。 a.伝導失語 b.失名辞失語 c.超皮質性失語 d.ブローカ失語 e.ウェルニッケ失語 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 音韻性錯語(例「机」→「きき」)は話し言葉の産出過程で音韻計画の障害から生じるため、流暢性失語で特に目立ちます。失名辞失語と超皮質性失語は、言葉の意味システムの障害が中心であり、音韻産出メカニズムは比較的保たれているため音韻性錯語が少ないのです。 --- 【各選択肢の解説】 a. 伝導失語 ❌ 誤り。伝導失語は音韻ループ(復唱回路)の障害が中核であり、音韻産出が不安定になるため音韻性錯語が頻出します。特に復唱課題で著しく増加します。 b. 失名辞失語 ✅ 正しい。失名辞失語は語彙想起の障害であり、音韻体系は保たれています。命名時に語を思い出せない(ブロッケージ)が特徴で、産出された音韻は正確です。 c. 超皮質性失語 ✅ 正しい。超皮質性失語は皮質周辺領域の障害で、言語の核となる処理系統(Broca野・Wernicke野の連携)は保たれています。したがって音韻産出は相対的に正確で、音韻性錯語は少ないです。 d. ブローカ失語 ❌ 誤り。ブローカ失語は非流暢だが、発話中の音韻計画が不完全で、音韻性錯語(放出錯語など)がしばしば見られます。流暢性失語に分類され、音韻レベルの産出障害を伴います。 e. ウェルニッケ失語 ❌ 誤り。ウェルニッケ失語は流暢で音韻的に滑らかな錯語が特徴です。意味と無関係な音韻置換(ジャルゴン化)が起きやすく、音韻性錯語は極めて多いです。 --- 【試験対策ポイント】 **音韻性錯語の多少を決める要因** | 失語のタイプ | 音韻性錯語 | 理由 | |---|---|---| | ブローカ失語 | 多い | 非流暢性でも音韻計画障害 | | ウェルニッケ失語 | 非常に多い | 音韻意識低下で滑らかなジャルゴン化 | | 伝導失語 | 多い | 復唱回路(音韻ループ)直接障害 | | 失名辞失語 | 少ない | 音韻体系保持・語想起障害のみ | | 超皮質性失語 | 少ない | 皮質周辺障害・言語核保持 | **鑑別のコツ** - 流暢な失語=音韻的に滑らかなため音韻性錯語が多い傾向(ウェルニッケ・伝導) - 非流暢な失語=ブローカは努力的だが音韻計画障害で錯語あり - 「意味は分かるが言葉が出ない」型(失名辞・超皮質性)=産出の精度は比較的保持
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